保坂和志の文学論

保坂和志の新潮連載の『小説をめぐって』の第一期が単行本になるみたいです。よかったです。何か三十年間の長期連載を計画しているらしいので、読み手として生き続けて最後まで読む自信がないのですが、二期、三期とどんどん単行本化されればいいですね。ところで、保坂和志の『6月3日に講座をします』がアップされていましたので、さっそく森ビル49階で開かれる『1990年代の日本文学 純文学はどう変わったか』をロムしました。インタビューアーは永江朗さんですね、紹介文です。

バブル経済が崩壊、景気回復への活路をなかなか見出せなかったために「失われた10年」と形容される90年代ですが、国際的にも国内的にも、大きな変革期であったことは間違いありません。
オーラルヒストリー(口述調査)のメソッドによってインタビュアーが90年代の変革の当事者であるゲストスピーカーの懐深くに鋭く切り込み、インタラクティブな対話の中から同時代の証言を引き出してゆきます。第1回目のゲストは作家の保坂和志氏。
保坂和志さんが「プレーンソング」でデビューしたのは1990年。保坂さんは、「それ以前だったらデビューできなかっただろう」といっています。 つまり、作品を選ぶ側(文芸編集者や批評家)の意識が90年を境に大きく変わり始めたということです。その後、90年代にデビューもしくはブレイクした 純文学作家たち(ときとして「J文学」と呼ばれることもありました)の多くは、保坂さんの影響下にあった(あるいは、ある)といえるでしょう。文学の変化を振り返ることで、90年代という時代そのものに迫りたいと思います。

下記の5/24日に僕自身、「90年代はまるっきり抜けた(それは多分風俗として無視しているのです)時代精神を持っている知人の送られた小説原稿」の趣意でブログエントリーしていましたが、保坂さんのこの講座はこの知人にこそ、聴いてもらいたいです。でも、そういう男だからこそ、聴く耳をもたないのも事実です。せめて僕が聞いて彼に翻訳?して、語るしかないのでしょうが、森ビルは僕には遠いが彼には近い。講座料は五千円、しかし、彼は絶対、保坂さんのこの講座を聴くべきです。