世界遺産 新潮現代文学 37 小島信夫 島・抱擁家族・小銃・アメリカン・スクール・自慢話・階段のあがりはな・ハッピネス フランドルへの道

 図書館のリサイクルで貰った『新潮現代文学 全80巻』の37巻目小島信夫の「島」を読み始める。本書で収録されているのは、そのほかに「抱擁家族」、「小銃」、「アメリカン・スクール」、「自慢話」、「階段のあがりはな」、「ハッピネス」である。解説は柄谷行人が書いている。年譜を見ると大正四年なので、同居の老母より三つ年上である。本書は昭和56年発行なので、昭和56年(1981)で切れている。この年、『私の作家遍歴』(全3巻)により日本文学大賞を授賞。66歳。『別れる理由』が完結と現在進行形の作家修業ぶりがうかがえる。明日、青山ABCで保坂和志との対談がなされるのですね、91歳。益々元気で意気軒昂。
 高橋源一郎によると、小島信夫は「世界遺産」ですって…。
 ★フランスのノーベル作家クロード・シモンは先日お亡くなりになりましたが、小島さんと同年の91歳です。保坂和志の『小説の自由』の第5章「私の解体」で『フランドルへの道』が言及されています。これも未読です。

以前読んだときにも、読む苦労は普通の小説の比ではないがその苦労に見合う面白さがあると感じたものだが、今回読み直してみて面白さに驚いているというか興奮している。前回読んだときには、腰までの深さの泥の中をうんうん唸りながら読み進むような気がしたけれど、部分としての文章自体はむしろ歯切れがいい。(p89)

読みたくなりますね。合掌。