VVする快楽パロディ古典古典 (ダイヤモンドコミックス)

 全国紙の文化欄に本屋さんがダイレクトに取り上げられ批評という居場所から結果として見事に広報されている。「ヴィレッジヴァンガード」である。毎日新聞の9/21(夕刊)で夏目房之介の「マンガの居場所」というコラムです。
 社会面でなく、文化面に店が写真入りで紹介されてい。ヴィレッジ……(筆者注:VVと表記します)を通して出版流通の今日を批評しているのです。VVは八月現在、173店舗で今年、わが町にもやって来ました。<『遊べる本屋』をキーワードに、書籍、SPICE(雑貨類)、ニューメディア(CD・DVD類)を複合的に陳列して販売する小売業>である。まあ、セレクトショップっていうやつです。夏目さんの探訪記事は下北沢店ですが、ここは確か保坂和志の本が単品で全国一売れたということを聴いたことがありますね。
 僕の街のVVでも、保坂和志本が5、6点平積みされている。近くの大型書店には新刊の『小説の自由』が平積みされていないのに、ここの棚陳列は全然違うのです。それで急成長している。僕の居た本屋はホビー、玩具の専門店でもあったので、このような店舗作りには違和感がなく、むしろそういう方向性に店舗展開してもよかったと思うのですが、書籍部門、玩具部門と全く別に店舗運営をしていて、VVのような発想はなかったですね。夏目さんはVVの成功を学習して中年以上を対象にして工夫された店が出来て欲しいんだがとこの『書店の快楽』というコラムに書いているが、チャレンジするには面白いかも知れない。
 団塊の世代が退職する2007年はもう間近だから、今から仕掛けて消費性向を作るという野心を書店人は持ってもいいのではないか、書架を可動式にして夜は「ライブ」や「トークセッション」などのパフォーマンスを行うみたいなコンセプトになりますかね。

 画集からアイドル、エロから哲学まで幅が広い。ときに「他の書店じゃ置いていないでしょ、でもアルんだなぁ、ここにゃ」という本がニヤニヤ笑いをしている。
 一言でいうと楽しい。こんな書店快楽はひさしぶりだ。
 マンガ棚も広く、店の三分の一近い。最近の大型書店はたしかに数はあるが、大量に出る点数をさばくのに精一杯って感じで楽しくはない。マンガも一般書籍も探す本がわかっていていくだけで、妙なものに出会う快楽がないのだ。
 少し前のマンガでも書店から消え、絶版も多い。かと思えば新書、文庫、ワイド版など版型を変えて同じ本を出す。一時は旧作をさがしやすかったマンガ文庫も連載中のものを出し始め、それに押されて、あると思ってると裏切られる。そりゃみんなブックオフにいくわけだよ。
 ヴィレッジ……は、他の書店では見なくなった本、めったにない本もある。さがす楽しみがあるのだ。グッズと一緒に妖しい「商品の魅力」を放ち、消費快楽を刺激する。
 マンガの品揃えと並べ方がまた絶妙。あ、こんなの置いている。なるほど隣はこれか。やや、それでこの路線にくるか。やられた、などと感心しつつ回遊してしまう。 

 手放しのVV賛歌です。マンガ批評のコラムなんですがね。そして先生が買った本が『DEATHNOTE 八巻』、『赤い花束』、『ブラックサッド』、『パロディ古典古典』などです。
 しかし、VVの購入層を音楽好きの女の子がついでに本を買う印象がある。『NANA』の購入層をイメージするとわかりやすいだろうと夏目さんは書いているが、『NANA』を知らないオヤジとしては益々霧の中ですね。
 そうそう、黒猫さんがコメントしているように永江朗著『菊池君の本屋』さんがありましたね、bk1では品切れになっていますけれど、この本は結構ブックオフで見かけます。オンライン書店ビーケーワン:菊地君の本屋
 参照:http://www.ringolab.com/note/natsume2/archives/003814.html#more