騒々しいパイプの煙です

 少し前になりましたが、leleleさんの『テレビの「やらせ」と「演出」』は興味深く拝見しました。組織内マスコミ人と外部の人たち、フリージャーナリストであれ、ルポライターであれ、リサーチャーとしての彼らとの関係がはっきりとわからなかたのですが、そこで思い出したのはかって、トップ屋、情報屋というノリで週刊誌時代と歩調を合わせて風俗を突風のように駆け抜けた梶山季之です。
 あれだけ、店頭を賑わせていた彼の著書群で今残っているのは『せどり男爵数奇譚』(ちくま文庫)ぐらいです。その梶山チームに入ってトップ屋稼業をやってたという本人の言うことなので、どこまで本当かどうか定かに分かりかねますが(ビートルズが来日したおり、知るはずのない情報が表に出たことがありますが、ガードマンに変装して潜入したと言う。)、そんなルポライターと知り合いになりました。
 七十年代本屋に居た頃、国籍不明のおじさんが毎日のようにやってきて、ある日、『裸のデビ夫人』という藤原弘達との共著の本を指さし、僕だ」と言う。スカルノ帽をかぶって精悍な面構えなのに、人懐っこく笑う。
 松本清張『日本の黒い霧』下山事件のキーパソンとして触れられている新谷波夫であった。森達也『下山事件』柴田哲孝『下山事件 最後の証言』と半世紀過ぎた遠い出来事だと思っていたのに、最近、下山事件関係本が店頭に並べられて捲くると、必ず新谷波夫が出てくる。
 ああ、懐かしいなぁ、本屋の一角を貸して新谷さんがインドネシアから仕入れた雑貨、民芸を陳列して物産店をやったことがある。後、倒産騒ぎがあったので実現はできなかったが、まだバレンタインデイが流布していない頃、元町の有名パン屋との共同で、「世界のキスコンテスト」というイベント企画がありました。本屋とはあまり縁のない企画を持ってくる謎に満ちた人だったのです。酒は一滴も飲めませんでした。最後に彼を夕刊紙の一面で見たのは『世界愛煙家協会』の会長に収まっている写真だったのです。
 小谷野敦さんは『禁煙ファシズムと戦う会』を立ち上げ会長に収まって、『禁煙ファシズムと戦う』という新刊まで発売されましたが、それに先駆けて世界という大風呂敷を広げた会を立ち上げていたのです。話が脱線しましたが、騒々しいパイプの煙におつきあい下さい。leleleさんも『禁煙・喫煙問題』をエントリーしている。生命学の森岡正博さんは、期間限定の『禁煙カフェ・レストラン』のページを作成して禁煙ぶりを発揮しています。煙草と言えば雑誌『談』を発刊している佐藤真さんのブログブータンでは煙草の販売が法律で禁止されている、でも国王が愛煙家との不思議な記事がありました。
 そんな経緯で森岡さんと小谷野さんとの愛煙・禁煙トークバトルを聴きたいなぁと、コメントカキコをしてしまいました。でも実現は無理みたいです。小谷野さんご本人から煙草を手放してトークは出来ない、その問題が解決できればありえるかも、いいアイデアがありますか?新谷波夫ならトンデモアイデアを持ってくるやら、でも、彼もスカルノ帽をかぶって今頃閻魔大王とやりあっているでしょう。多分、鬼に変装してスクープネタを探しているでしょう。
 参照:雑誌『談』編集長によるBlog : 理不尽きわまりない「禁煙ファシズム」の猛威
オンライン書店ビーケーワン:禁煙ファシズムと戦う