♪青い背で衣替えした「風の旅人」

 大きな柱だった白川静さんが去り、装いを新たにした『風の旅人16号』が発売されさっそく街の本屋さんに駆け込みました。でも、在庫が一冊しか入荷しなかったので、もう売り切れ、駅前にある系列店に在庫を確かめてもらって、やっとゲットしました。ここも在庫が一冊でした。一駅先の駅前に三越百貨店が閉鎖となり、TUTAYAビルになって一階の雑誌売場には百貨店の名残だと思う大きな柱の四面をディスプレー用に改造して「風の旅人」、「SWITH」を五、六冊並べてメンチンしていました。「お!、力を入れているなぁ」と、先週、別件でこの駅前に行ったおり寄ったのですが、15号をずらりと並べているので、買うことは出来ませんでした。16号がまだ発売されていなかったんですね。
 京都、大阪の市中に出れば、簡単に購入できるのですが、下駄履き散歩がてらで街の本屋さんてことになると、ゲットは困難です。そう言えば今日買った本屋さんで、数ヶ月前、『考える人 夏号』を買おうと思い、棚を見てもなかったことがありました。書店員に探してもらったら、店長が飛んできて「実は返品しようと思いバックステージにあるのです」と顔を真っ赤にして弁明するのです。別にそんな風に告白しなくても、「ありました」っと、何食わぬ顔で持ってくればいいのに、書店員の方って本当に無垢っていうか、真面目な人が多い。まあ、中には例外がいますが(笑)。でも、別の本で京都の大型書店、大阪の大型書店でもこんなことがありましたね。大体返品期限が来ないのにちょいと様子を見て入荷点数が多すぎるため、すぐに返品するサイクルがどんどん短くなっているみたい。中には棚出しないで即返品なんてのもある。
 今、新刊点数は一日当たり200点を超えたのでしょう。精々二桁ですよ、二桁の点数でロングセラー勝負。某取次ぎの知り合いが『風の旅人』を見て、「長い目で、雑誌史という中で語り継がれるものになるだろう」ということはわかる。売れる売れないことに関してはなんとも言えない、と言葉を濁しましたが、編集長はそのような俗情はとうに切った上で雑誌つくりをしているので、「わかる人にはわかる」それだけでいいのでしょう。
 16号の表紙の写真を見て、「すごいエロス」を感じました。何の先入観もなかったのです。でも、ここはネバタ核実験場の爆心地なのです。怖れと畏れは近しいものなのか、
 何故、荒涼たる風景に惹かれるのか、EMMET GOWINEの写真は美しすぎる。「オーラル・ヒストリー」の保苅実のテキストに本橋成一が写真で合奏している。
 まだ、購入したばかりなので、田口ランディ保坂和志武田徹佐伯啓思の連載記事を読んだばかりですが、編集長の話ではこの雑誌は一気に読むものではなくて、何となく手にとって見て読んで、その時の状態で感応する、どこから読んでも見てもいいように編集されているとのことなので、秋の気長に読みます。
 でも、新しく登場した武田さんに関して一言。オンライン日記9/26の『フロム』で某雑誌でエッセイを書くことになり、色々と苦心惨憺したと、藤原新也調になったみたいと武田さんらしい含羞で書いていましたが、『ニュータウンと欲望』はとても面白かったです。
 参照:2005-10-02 - 風の旅人 編集便り 〜放浪のすすめ〜