黒猫さんにレス

黒猫房主:非再販制をやめても本の売価の値崩れがないとするならば、あえて再販制をやめるメリットはなんでしょうか?
 ◆値崩れはあると思いますよ。恐らく僕がかようなことを書いた趣意は値段に影響されにくいコンテンツの本があるし、本来、本ってそういう側面があった、そのことを強調したいがためにあえて、値崩れがないだろうとオーバーに書いたのでしょう。
 あくまで今現在の供給過剰(新刊店数が毎日200点以上というのは異常でしょう)市場の予測であって現実には再販維持制度を外すと新刊点数が大幅に減数されます。(今の過剰な新刊点数の発行は一種の偽札作りですよ)*1
 取次に対して先付けの手形を発行するような金融対策が頓挫するでしょう。今の取次を中心とした流通システムは出版取次というより銀行の役割が大きいと思うのです。大取次の信用で手形の割引が簡単に出来る。この業界はそのような護送船団方式が確立されている。この国の事情と似ていますね、でも少なくとも他の業界では、外圧もありましたが、リストラ、公的資金導入、兎に角、スリム化を図り、経営の合理化、改革を進めてきた。少なくとも表のメインストリートでは思い切った改革が現在進行中ですが、出版業界は再販維持制度という象徴的な壁、まあ、実体はなし崩しになっていますが、兎に角、問題を先送りする象徴的な制度としての心理的な効果があるのではないか、少なくとも他業界が出版業界に進出するのを疎外する防護策にはなっているのではないか。

黒猫房主:葉っぱ64さんの言われるように、再販制は実質的にはアマゾンのマーケットプレイスにおいてなし崩し的に崩壊しつつあり、堅めの本やB(ビー)本におけるAMPのシェアは増大するでしょう。そして先ほどの書店人さんによれば「アマゾンジャパンも再販制を実は歓迎しているそうですし、5年前や10年前とは状況が大きく変動しつつあるように思います」ということでした。
 ◆多分、アマゾンはネット書店の勝ち組になっている。自分の王国を兎に角確立した。ブックオフもそうでしょう。具体的なノウハウは分からないけれど、再版維持制度を巧みに利用したシステムを構築したと思うのです。せっかく、苦心惨憺、作り上げたのに、再版維持制度が撤退されれば、外部から強力な新勢力が乗り出してくるかもしれないし、又、ゼロからシステムの構築をやり直さなければならない。要はアマゾンもブックオフももう旧体制かもしれませんね。恐らく、再版維持制度を撤退した土俵の上に出版流通システム構築する人が他業界かもしれないが早晩あらわれてくると思う。再版維持制度を外すことは内実が従来と実体上そんなに変わらなくとも、象徴的、心理的な意味が強いのではないか、ただ、金融機関としての取次の役割が大幅に減るでしょうね。この点が一番大きい問題かもしれない。資産評価も正定価によらなくなるでしょう。再版維持制度に担保された水増し資産評価の実体があるでしょう。*2
参照:2005-10-25 - シャ ノワール カフェ別館