遊べる本屋さん

 首都圏だけの情報誌『散歩の達人・一月号』を楽しみました。特集は『本屋さんを遊ぶ!』で、興味津々の本屋さんが目白押しです。ただ、残念なことに関西圏の情報は一切ありません。関西なら『meets』なんですが、食い物紹介が多い感じがします。光村推古書院から『京都読書空間』という楽しい本屋を紹介した本が出版されましたが、関西でこの『散歩の達人』のようなコンセプトの雑誌って、『meets』以外にあるのだろうか、僕が驚いたのはどこの本屋さんを覗いても『meets』が目立つことです。関西圏の情報誌の需要は根強いのですね。でも、僕の欲しい情報とはズレるのです。まあ、此方側に問題があるのでしょう。ちょいと寂しいけれど、仕方がありません。
 それで、地元の小さい本屋さんに取り寄せてもらったのです。580円也。二週間はかかるだろうと思っていたのに、一週間で届きました。早かったですね。首都圏の情報誌だから、勿論、関西の取次倉庫にはないはずなので、書店員も僕も早くとも二週間と予想していたのです。今、人文書などの新刊書は永江朗氏がよく言っているように書評が新聞・雑誌に掲載されるのは、例えば新刊委託期間が三ヶ月で、その前に在庫管理上、リアル書店では返品して店頭から消える、丁度そのタイミングなのです。だから、読書人が中堅規模の街の本屋さんを覗いて書評該当の本を購入しようにも品切れで、客注ということになる。客注の煩わしさよりはネットで購入の方が確かで早い!、そんな状況でリアル書店から人文書が消え、ネット書店で購入する割合が高くなったみたいですね。「人文はネット」ってことになるのかな、それでも、雑誌を購入することは出来ない。それで、やむなく、客注を頼んだのです。
 パラパラ、めくってみて、ヴィレッジ・ヴァンガード下北沢店の頁で店長談話が面白い。

 「僕は個人的に哲学や宗教の本が好きなんですが、こういう分野は読むきっかけがないですよね。どれも難しそうに見えてしまう。だから古典的な名著とか、入門書的な本を置いているんです。そしてそれを読んでおもしろかったら、他の書店でいろいろ選んでくれればいいなと。うちはきっかけをつくるところです」

 僕は未読ですが本谷有希子の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』が、下北沢店だけで、500冊も売れたのですって。ロングセラーで売れ続けているのが角川文庫の『ドグマ・マグラ 上・下巻』で一ヶ月に50冊は売れるとのこと。細長いハヤカワミステリーブックで『ドグラ・マグラ』を持っていましたね。これも処分をするのではなかったと後悔しています。この本のPOPが写真で公開されていますが、「売り切れて/ばかりで/ごめんなさい」です。『ドグラ・マグラ』を購入する人は目的買いでなく「たまたま感」だと言う。その「たまたま」をデスプレイ、棚演出をすることで、連想のスパイラル渦をつくる。そのためのネタ探しに本屋めぐりは日課だと言う。そりゃあ、そうでしょう。まさに「遊べる本屋さん」ですね。僕の街にも去年、ヴレッジ・ヴァンガードがやってきたのです。冷やかしで覗いても楽しいですね。
テレビで珍しくアマゾンについての報道をしていました。アマゾンはCMを打たない。でもアマゾンの知名度は日増しに高くなりますね。こんな風に知らぬ間にブログ上で語ったり、何となくアフィリエイトにつながって販促に貢献しているみたいですが、アフィリエイトのポイントがどうなっているのか、わかりません。ネットではまだbk1でしか購入したことがないのです。しかし、アマゾンはどんどん新しい仕掛けを行いますね。本は買わなくともネットサーフィンはよくします。僕にとって全く金のかからない遊び場です。*1
 先日、梅田に寄ったおり、今月で閉店になる老舗古書店『高尾書店』を覗いて半額セールで多田富雄著『私のガラクタ美術館』(朝日新聞社)を475円で購入しました。現在の店主が先代から受け継いだ看板を守ってきたのですが、とうとう廃業を決めたのです。司馬遼太郎さんが贔屓にした古書店としても有名ですが、残念ですね。
 下で紹介した横浜馬車道の会員制・予約制・入場料制の本屋『エンカウンター』も掲載されていました。
私のガラクタ美術館