新聞切り抜きから

小島信夫/寓話

 春なのに雨が降り続き櫻狩りもままならず、部屋の掃除をしていたら、古い日本経済新聞社から郵送された夕刊が出てきました。取材されたお礼?なのです。夕刊の【いきいきライフ】の連載記事で、「本で広がる交流の場」、「読書会・ネット書評、シニアに人気」っていうタイトルなんです。

 読書を通じた中高年の交流の湯が広がっている。生涯学習熟の高まりで、図書館などに参加者が集まる読書会が再び人気を呼んでいるほか、最近はインターネット上で書評を書き込むバーチャルな舞台も注目されている。異なる解釈や評価が、人との交わりを豊かなものにしているようだ。

 2005年4月28日(夕刊)の記事です。電話取材を受けて(一時間以上)、僕の段落は150文字ですか(笑い)、せっかくなので紹介します。でも、全文は一応、新聞社に著作権があるので、適当に省略します。興味のある方は図書館で調べて下さい。実名も僕以外は○表記します。

 「本来の仏教は解脱が目的であって……」、名古屋市内の瑞穂図書館。集まった「○○年輪読書会」のメンバーが、司馬遼太郎著『この国のかたち』を輪読していた。三十五人の会員の平均年齢は七十五歳を超す。(略)幹事の○○さん(80)は「声を出して読むことで、ボケ防止や健康づくりにもなるんです」と話す。

 そうか、ボケ防止にいい、声に出して読む斎藤孝の『理想の国語教科書』などをテキストに週末、孫たちと輪読をするなんていいかもしれないが、子供たちは一緒にやってくれるかどうか、微妙なところです。「勝ち組」たらんと子供たちの教育にしゃかりきりの父兄は協力してくれないだろうなぁ、今の子供たちは本当に忙しい!最近も近くの子供に用事で声をかけたら、「忙しいから、あとで」って振り切られてしまった。だから、自治会で何かイベントをしようにも、小学高学年、中学生以上になると殆ど参加してくれませんね。

 会合は月一回。輪読だけでなく、大学教授ら外部講師を招いての講演もある。年に二回、機関誌を発行する熱の入れようだ。「本は気軽に読めるように、堅苦しい批評は抜き」というが、有志が向かいの喫茶店で延長戦に入ることもしばしぱだ。(略)図書館などを舞台にした読書会は、昭和三十年代にピークを迎えた後は退潮傾向にあったが、生涯学習の普及とともに中高年層を中心に復活している。

 僕の知り合いの図書館で閲覧室以外に同じ館内に部屋を設けて研究なり読書会で利用できるようにしようではないかと、準備をしています。さてどうなりますか、ボランティアを効果的に使って上手く運営出来るといいですね。

 こうした従来型の読書会とは別に最近脚光を浴びているのが、ネット上で展開される書評サイト、いわば「バーチャル読書会」だ。読んだ本の紹介や批評をネットに書き込むもので、オンライン書店が運営しているものが多い。(略)○○さん(61)は三年前から、オンライン書店ビーケーワンが開設する書評に参加している。「自分が書いた評を読んで書いた他の人の書評を読むのも面白い」 オンライン書店系のネット書評は、事前に書評者の登録が必要なものや、運営者側の審査を通過しないと掲載されないものが大半。○○さんも「本好きの人が見ているサイトなので、変なことは書けないという緊張感がある」と仲間の視線を意識する。ネットという性格上、まだ利用者の多くは比較的若い層だが、パソコンを使いこなせるシニアの増加に伴い、ネット書評の中高年参加者も徐々に増えている。ビーケーワンによると、登録している約一万人の書評者のうち、四十代以上が三割弱を占める。シニア層に受ける理由を、ビーケーワンの担当者は次のようにみる。「これまで文章の表現力や知識が豊富なシニア評者が、自己表現する場がなかった。ネット書評はその受け皿になったのではないか」
 確かにシニアの書評を読むと、書き手の人生経験が行間から伝わってくることが多い。○○さんも「仕事の経験やその蓄積を、自分の軌跡として残したいという思いも書評を書く理由のひとつ」と打ち明ける。 
 ネットが縁で、実際に評者が集まる読書会に発展した例もある。「キーボード入力の練習のつもりで書き始めた」と語る栗山光司さん(61)は、同じ本の書評を書いた女性の個人ホームページにメールを送ったところ意気投合。昨年、大阪市内で酒井順子著『負け大の遠吠え』を題材にした読書会を数人と開いた。 書評専門サイト、レビュージャパンの○○さんも「出会いの場を提供するために開設したサイトでもないのに、我々の知らないところでオフ会がたくさん開かれている」と驚く。
 ネット書評も含め読書会ヘのシニアの参加はさらに増えるだろう。とりわけ社会に対してモノ申したい気概が強いといわれる団塊世代には、自己表現の場としてぴったり。今後、大量定年を迎える彼らが読書会に参加すれば、活発な議論が巻き起こり、ますます盛んになりそうだ。

来年は2007年で大体700万人の団塊の世代が定年退職するのでしょう。ネット生活にどっぷりとハマル人が増えるんじゃあないですか、そのうちの何割かなブログでメッセージを発信する。それも今までは組織の柵があったけれど、放たれて結構辛口のネットおしゃべりをするんではないかと、良くも悪くも予想しています。「web2.0」の世界の推進力に 団塊の世代は資金と時間の余裕、目立ちたがり、それに何せ人数が多い、08年では一千万人を越えるでしょう。好奇心も旺盛ですからね、レビュージャパンでは書評集の年鑑を出版していますね、オンブック:『RJ年鑑 2005』review-japan 編集部
参照:「団塊の世代」の生きる道 : Web読書手帖
★画像は小島信夫『寓話』保坂和志&がぶんさんとプロジェクトKで制作した品切れのない本です。僕も購入しました。90歳を越えてもまだ、現役なのです。