嘘つきのモノローグ 

 DVD『フェリーニ 大いなる嘘つき』を借り出して観ることが出来ました。没後10年を記念して制作されたドキュメンタリー作品でカナダ人ダミアン・ペティグリュー監督・脚本で、フェリーニ最晩年の貴重なインタビューを中心に、ロベルト・ベニーニドナルド・サザーランドテレンス・スタンプ、といった彼の作品に携わった俳優だけでなく、作家イタロ・カルヴィーノ、プロデューサー、関係者へのインタビュー、未公開映像、名作のハイライト場面を加えたドキュメンタリー作品でしたが面白かった。
 小説家の井上光晴を「嘘つきみちゃん」として原一男がドキュメント映画『全身小説家』を愛憎半ばで描いていたが、小説家であれ、映画監督であれ「嘘」でもってリアリティを立ち上げる、夢も又、全身に汗をかく体験なんだろうなぁ…。手応えのある生が実感出来ればそれが現実で、夢であろうとなかろうとそんなことは取るに足らない、映画監督は映画を撮る過程で生々しく生きており、小説家は書くことで書いている過程で生きているんだろうなぁ…と、当たり前のことを感じたしだい。
 しかし、フェリーニの『81/2』はDVD化されていないのですね、81/2フェリーニの自伝的な作品でマストロヤンニがフェリーニを演じているわけで、同時にこの二作を観れば面白さは倍加するのに、なんで、DVD化されないんであろうか?、売れないから、身も蓋もない答えだなぁ…。