自由フォーラムグループ事例研究(3) 

 新聞のスクラップブックより、昨日に続いてメモ致します。そう言えば、読書人かな、日本図書新聞かな、年鑑の縮刷版を持っていたのに、いつの間にか処分している。確か、1968年〜70年頃なので、今読むと色々思い出されてオモロイと思うのですが、どうして捨てたのか残念無念!
 ところで、自由フォーラムの古書店としてのスタート(79年)のコンセプト・新刊書店風古本屋とは、希少価値のある古書を扱う古書店でなく、読者が読み終えた本、従来の古書店が嫌う少し汚れた本でも逆に安く売り買い出来るから積極的に取り扱う。雑誌のバックナンバーも積極的に取り扱う。サブカルチャーをメインに置く。
 でも、ここのグループは人文書に強い、今はどうか知らないが、当初は、週休二日制を貫徹して勉強会は恒例であったし、人文書を中心に年間必読文献200冊が指定されていたのです。最低限の商品知識を身につけるために、週末は本を読まなくてはならなかったわけです。
 この当時、もうすでに全店オンライン化のシステムを構築するために全員で買値のデータをパソコンに入力したり、開店当初から古本屋では珍しく業務マニュアルを作成している。丸山さんが一番重視したことは「死に在庫の怖さを知る」ということです。従来型の本を寝かして化けるのを待つ、という骨董屋商法とは対局にあります。商品回転率重視のマニュアルなのです。新刊書店と全く変わらないやり方ですね、そのためには「よく買って、よく売る」ことにつきる。

 平均すると定価の二割で買っている。高いものは五割、それ以上のものもある。神田の古書店街よりは高値で買っている。「何でも定価の一割で買うというのは、いいマニュアルではない」と丸山さんはおっしゃっているが、この点が新中古書店と違うところでしょうね、新中古書店のマニュアルは「何でも一割のような」方向性を徹底したマニュアルだったんでしょうね、そこが又、多店化の成功の秘密でもあったのでしょう。
 でも、自由フォーラムの凄いところはお客さんに店の買値がある程度判断出来るように買取条件表を配布していることでしょう。例えば月刊誌は発売三ヵ月以内なら20円〜100円、小説・エッセイは初版から1年以内なら定価の10%〜20%、実用書は初版から3年以内なら10%前後、人文書は10%〜40%でみすず書房せりか書房の思想・哲学書については40%……。
 コミックは20円〜200円とするが、過剰在庫の作品について随時「買取りしないコミック」一覧を店内に貼り出す。
 「古本屋に来るお客さんご何か必要かというと、この本だとこれくらいで買ってくれるだろうと判断できる基準であり、値段に対する安心感です」と丸山さんがおっしゃっている。ー『新文化』第2094号より、抜粋まとめー

 それから、十年以上経った現在、どのようなマニュアルを作成し、POS化、オンラインシステムを構築しているか、興味があるのですが、最近、自由フォーラムの情報が入らなくなりました。こんなに古本屋がネット化し、アマゾンのユーズドが新刊書を脅かし摩訶不思議な価格体系になっている出版流通業界で、自由フォーラムのような本屋さんがもっと情報発信して欲しいのに、どうやら、そんな僕も含めて猫も杓子もネット発信しているから、逆にアナログ回帰しているのかな…。多分、このエントリーも自由フォーラムグループの目に触れることはまずないと思う。お目に触れたらコメントカキコを大歓迎!
今の出版流通に関してメッセージを聴きたいなあ…。
丸さん、元気していますか?追記:2009/8/16