空っぽな本棚の過剰な記憶

オンライン書店ビーケーワン:ベルリン〈記憶の場所〉を辿る旅オンライン書店ビーケーワン:ヒューマン・ステインオンライン書店ビーケーワン:ファイル
 図書館にあったDVD『白いカラス』を借りて見ました。ぴぴさんは映画レビューも原作書評も書いていますが、文句なく原作の方がよかったとコメントしている。確かに原題の『ヒューマンスティン』よりはイメージの喚起力も映画では『白いカラス』のタイトルの方がぴったりでした。果たして原作はどうか、読んでみたいものです。ところで、元、老大学教授ホプキンスがキッドニコルマンと「バイアグラ」を使って頑張っているのですが、昨日のニュースによれば、バイアグラの偽物を輸入して通販で売り捌いた悪徳業者が逮捕されましたね。僕は使ったことがないけれど、結構な需要があるのでしょうね、そう言えばこの映画の語り部である作家も森に隠遁しているのですが、原因の一つに前立腺癌に罹ったことをあげていましたが、離婚の原因にそれがあったのなら、彼も「バイアグラ」を使ってみたら又、局面は変わったかもしれないのにと、そんな横道観劇をしてもしました。僕の担当医の話によれば、去勢(内分泌)療法をしていても「バイアグラ」を処方しても支障がないとのことです。現在療養中の人は基礎的医療知識として知っていた方がいいでしょうね。
 映画の話から脱線しましたが、もうすでの見ている方は多いと思いますので、ここまで、ニコール/キッドマンはやっぱし良いですね、
 このところ「記憶」について言及しましたが、ある社会学者がベルリンに旅して記憶を刻印している。「A・シュタインガルト『ベルリン <記憶の場所>を辿る旅』(谷口健治他訳、昭和堂、2006年)」の本に触発されて……
「記憶」とは、「忘れたくない」「忘れてはいけない」という未来に向けた想念のことである。多分、「思い出」というものではない。
◆記憶?『空っぽの書棚』
◆記憶?『空席のベンチ』
◆記憶?『メモリアルの「強さ」』
◆記憶?『意味変容する記念碑』
◆記憶?『人びとの記憶』
◆記憶?『ファサードとの闘い』
◆記憶?『個人の記憶』
◆記憶?『建物と有名人と』
◆記憶?『記録・集積・抹消・再現』
 ここで、社会学者が「加害」を語るものでありたいとそのことの困難さを書いているが、「被害を語る」記憶の中に未来に向けて構築しうるものがあるとしたら、それは「加害者の言葉」を引き出すメモリアルを逃げないで正面から対峙する強い精神力が要請されるであろう。坂東真砂子の「子猫殺し」の一言に動揺してしまう彼らはホロコースト記念碑の前で一つの記憶を空っぽな本棚に見出すであろうか、見たくないもの、聞きたくないものを、隠すことから拭いがたい罪が生まれる。この国では特に「あえて言う」ことが大切なのだと思う。映画『白いカラス』のアンソニー・ホプキンスが演じる大学教授の血の隠蔽は結局何らの救いにも解決にもならない、恐らく人間のスティンは日の下に晒すことで、「忘れたくない」「忘れてはいけない」という未来に向けた「記憶」となるのでしょうか。