年次改革要望書って?

オンライン書店ビーケーワン:書店繁盛記オンライン書店ビーケーワン:拒否できない日本オンライン書店ビーケーワン:「街的」ということ1984年
 『年次改革要望書』をウィキペディアで調べたのは、田口久美子の『書店繁盛記』を読んだら初っぱなから関岡英之の『拒否できない日本』(文春新書)を巡る「アマゾン販売拒否事件」でその真相は謎に包まれてはいるが、(こういう場合、アマゾンって「しらん」で音無の構えですね)、だから、業界雀がああでもない、こうでもないと、憶測する。発端はAOLのニュースサイト(05年9月17日)らしいですが、まあ、去年の話しですが、
日本国政府への米国政府要望書(2005年12月7日)はPDFで46頁もありますね。
http://japan.usembassy.gov/j/policy/tpolicyj-econ.html#kiseikaikaku
もの凄く具体的で詳細ですね。日本の規制緩和政策、独占禁止法郵政民営化、医療から、通信業、著作権法、外国弁護士、法律の翻訳など、毎年、このような年次改革要望書が提出されて通信簿評価されるされるシステムが稼働しているのですね。この枠内で日本の政治がまず行われべきだと天の声ならぬアメリカの声があるのでしょう。しかし、日本からアメリカに対する『年次改革要望書』はどうなっているのだろう。ここから『米国の規制改革及び競争原理に関する日本国政府の要望書』を読むことが出来る見たいです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/5_houkoku.html
メートル法の推進徹底を求めているなぁ…。クレジッドカードの情報漏洩事案、運転免許の更新、生体情報による出入国管理の苦情、テロ対策、しょうちゅうの販売許可とか、電気通信サービス、しかし、細かいなぁ…、それはそうと、年次報告書で再版維持制度撤廃の要望(独禁法の除外項目削除)がアメリカさんからあったのですが、何とか免れたのです。結構、この再版維持制度はしぶとく生き残っていますね、そんなにアメリカにイエスと言っていないんだという見方も成り立ち得る。そんなことを思っていたら、bk1で塩津計さんの直球レビューがありました。まあ、外圧を利用してアメリカをヒール役にして本音は喜んでやるのに、いかにもいやいやながら、涙を飲んでやらなくっちゃぁと、痛みを伴う改革をクールにやってしまう太鼓持ちも顔負けの芸を読みとることも必要かもしれない。
 でも、『書店繁盛記』で田口さんも中村さんもストレートに怒る。アメリカから日本への「年次報告書」について言及する(94頁)。

……「これじゃあ、日本はアメリカの属国だよ。いや、属国っていうより、植民地だよ。アメリカの要望どおりに全部動いているんだもの。郵政民営化だろう、陪審員制度だろう、法科大学院構想だろう。ほら、いちいち細かいんだよ、見てごらん、こんなに項目があって。日本は全部アメリカの言いなり、全部この一年でその通りに動いている」あのさ、それって、私がちょっと前に散々言ったんじゃない、私が言ったときは、へー、それがどうしたの、馬鹿じゃないの、という目をしていたのに。
 「もうさ、私もアマゾン・ウォッチングをやめたいんだけれど」同業者をあげつらうのにも結構気がとがめていたし。「あのね、これはアマゾンなんていうちいちゃい話じゃないの、日本全体の問題なの、だって日本はこれから少子化でどんどん国の力が落ちていくのだろう、ますますアメリカの言いなりだよ。日本の外務省の<アメリカへの要望書>もサイトで見られるんだけれど、これが情けないぐらいスカスカ。小泉首相は単にアメリカの言うなりなだけ」「でも、この間の選挙で、その小泉さんにみんな投票したわけだよね、圧勝だよ、きっと日本の<民意>はアメリカの属国になりたいんだよ」
 私もなんだかヤケクソである。本当に日本はどうなっちゃうんだろう。「戦争で負けて占領される、っていうのはこういうことなんだよなあ。六十年経っても」しみじみと言う中村なのだが、いや、経ってもとうより、じっくり六十年かけてこの体制になってしまった、というほうが正しいのかもしれない。

 しかし、同僚とこんな怒りをぶっつけることが出来る職場っていいものですね。
★参照:「街的」本屋さん - 葉っぱのBlog「終わりある日常」
★追記:http://dnalt.iza.ne.jp/blog/entry/116704/