「糠に釘」

古今亭志ん生名演集オンライン書店ビーケーワン:鼻 外套 査察官オンライン書店ビーケーワン:黒沢明vs.ハリウッド
 田草川弘著『黒沢明vs.ハリウッド「トラ・トラ・トラ!その謎のすべて 』を読みました。ここにも「狂」がありました。
 黒沢明はこの映画を悲劇として描きたかったのでしょうが、映画そのものが、黒沢監督の元から無惨にも取り上げられ、皮肉にも、そのことで悲劇を実践したかのような本書の黒沢像で、とうとう、見ることの出来なかった「虎・虎・虎」(トラ・トラ・トラ)でしたが、
 もし、仮に黒沢明が解任されないで、あのまま、撮影した場合、どんな映画になっただろうかと、想像しようと思っても「糠に釘」のような手応えがない、深い闇の中って言う感じですね。
 図書館で借りたCD五代目古今亭志ん生の『藁人形』を聴いていたら、傷があるのか、途中で音が消えてしまった。宿場女郎お熊が乞食坊主西念からお金を巻き上げて、西念がお熊を呪い殺そうとするお噺のですが、その暗転場面、西念がお熊にダマされたと気づいたところから、「傷」が入っていたのです。ホンマに「悲劇」です。
 お熊はかって「糠問屋の娘」だったのです。「糠に釘」ですよ。
 追記:den_en relax 雑感 古今亭志ん生 名演集
 隣の『鼻・外套』の書影は光文社文庫からの新訳ですが、前々日のノルシュテインのエントリーでのびわさんのコメントではどうやら落語調の翻訳らしい。読んでみたいと思って備忘の画像です。しかし、志ん生の鼻も赤いですね。のんべいの赤鼻でしょう。