脱大日本・脱談合

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 大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事を巡る談合事件は、構造的なものなんでしょう。ちょうど、NHKスペシャルで『脱談合』をやっていたが、建設・土木業界で働く人々は国民の十人に一人と言うから、一気呵成に『脱談合』をやると、そのダメージは想像以上でしょう。建設会社関連は50万社で、全国津々浦々に張り巡らせていた、ある面では防災・福利厚生のネットワーク、別の面では価格・技術の競争原理を回避した談合列島、護送船団方式でもあるわけだし、それは戦後体制というより、1940年体制、いや、もっと、明治、江戸の鎖国経済体制につながる、この国の根底にインストールされているOSをアンインストールする危険な作業でもあるんだろう。単なるアプリケーションの入れ替えではないのでしょう。
 佐藤優が『獄中記』でいみじくも言っているように、経済合理性だけで、差配するならば、大前研一の「北方領土不要論」は当然のことであり、北海道、山陰、四国はいらなくなってしまう。首都圏、京阪神、中京地区だけで、「大日本」はおさらばして、「プチジャパン」で再出発っていうことになってしまう。
 でも、それは、やっぱしやばいんではないか、そんな経済合理性だけで、国作りをしてもいいのか、そんなのは「醜い国」で、「美しい国」ではない、と安倍首相がイシューしてるなら、わかりやすいが、どうも、そのような格差拡大路線を小泉さんのように簡単明瞭に言明するのを避けて、その実、その路線を結局踏襲して、「お金は醜くない、美しい」って言っちゃうほど、腰が据わっていなくて、お金より大事なものがあると言いたげな振る舞いが、この人の迷走にあるのではないか。
 佐藤優は『国家の罠』で終始「国策捜査」という言葉を使っているが、国策だから不当だと言っているわけではなく、OSの変更に伴う生贄であって、そういう歴史の流れを受け入れた上で、情勢分析を行い、自分の立ち位置を明確にしているわけでしょう。小泉改革がなかったら、鈴木が逮捕されることもなかったということ。

小泉改革の目指す者ものはなにか。一言で言うと、日本の基礎体力回復による生き残りである。平等主義、弱者保護路線を切り捨て、強い者をますます強くし、機関車とすることにより、日本を引っぱっていこうとする。そのためには国民の圧倒的大多数に裨益しない政策を遂行する必要に迫られる。この点を隠すためにナショナリズムを煽り、また、人為的に「抵抗勢力」(国民の敵)を作り出す。
○鈴木路線とは何か。改革の必要は認めつつも、急速な構造改革は非現実的であるとし、段階的再編を主張する。現下の日本が深刻な問題を抱えているのは確かであるが、日本の基礎体力はまだ十分な潜在力を有していると考える。いわゆる「宗男疑惑」の対象となった事案の大部分は、図式的には公平配分を指向する動きである。ー『獄中記』p53ー

 僕は外野席で見ている限り、大西健丞の問題が一番、印象が悪かったですね、鈴木路線が佐藤の言うようなものなら、どうして、NGOのような組織を排除するような方向にいったのか、理解出来ないのです。
 と、言ってもこのような非政府組織の実態は僕にはわからないことだらけです。ただ、言えることは手弁当(と思われている)で活動する人々の言葉は、「お金以外の動機」で動いていると思われているからこそ、その言葉が「美しいもの」として受容される。そのようなことに政治家は鋭敏になるべきでしょうね。
 談合が、単にカネだけで結びついているのではなく、相互扶助的な側面もあるんだと強調したいならば、仮に談合システムで20%位、利益がでるなら、裏世界、政界に流れる回路を断ち切る自浄作業が必至であるのは当然である。
 テレビで最終的に「くじ引き」で決めていたが、入札価格が同じである場合、「くじ引き以外」の方法があるかどうか、いくら考えても思いつかないですね。「技術評価」も主観的ですからね。
 5月30日の毎日新聞夕刊『雑誌を読む』で武田徹『都知事選に何を望んだか』で、≪イベントの魅力や「安全安心」のような心地よい響きのキャッチフレーズを伴って社会の隅々まで支配を及ぼす内務省的権力。それをとりあえず拒否し、あるべき都市生活の姿と、その先にある国のかたちを考える時間を稼ぐには、かって青島幸夫のような徹底的に「非内務省型」の都知事候補を受け入れ、選べるアイロニカルな蛮勇が必要だったのだろう。≫と書いているが、大阪府知事選は来年ですが、ノックから自治省出身の太田知事に移行して、今度、「非内務省型」をとなれば、ノックさんの後遺症があるから、吉本興業以外の「非内務省型」と言うと、さて、誰がいますかね?
 しかし、投票率がどんどん下がっていますね、http://www.city.higashiosaka.osaka.jp/250/250010/senkyo/tizi/tizi.html
 ★佐藤優書店開店!ジュンク堂池袋店内で可愛い写真ではないか(笑)。