安倍内閣「死に体」、★小田実さん、ご逝去…、]

 一年前の小田さんが登場しています。声もしっかりしている。
http://video.google.com/videoplay?docid=-7947507816603782608
 久しぶりに僕の投票が死票にはならなかった。比例は別の党に投票したのにこちらも生きた票になった。やはり気分がいいですそんな目覚めで小田実の訃報が届いたのです。合掌。

深い音

深い音

 僕は小説家としての小田実が好きだった。勿論、最初の読書体験は旅行記であった。『何でもみてやろう』は発売時(61年)に読んでいますよ、社会現象にもなった大ベストセラーだったですね、ベ平連としての活動は僕たちに強烈な印象を与えたわけですが、「昭和の坂本龍馬」とも言われましたね、でも、とうとう政治家にならなかった。鳥瞰から見下ろす石原慎太郎に対して虫瞰から論争する小田さんの迫力はエネルギッシュで、どうして政界入りをしなかったのかと、不満があったけれど、市民運動家に徹したかったのでしょう。
 でも、小田さんが政界入りをしていれば、政局図が大幅に変わったであろうなぁという局面がありましたよ。地方自治体の首長でもやってもらいたかった。大阪市大阪府横山ノックだもんね、そう言えば、テレビでノックと漫談(政談)をしているシーンをいまだに覚えているのですが、抱腹絶倒でしたね。
 野坂昭如との政談(漫談)も面白かったですね、これらの動画がyoutubeでアップされないかなぁ、僕が小田さんの小説で最後に読んだのは、『深い音』ですね、もう5年前なのか、僕は★印二つの失礼なレビューをbk1投稿していますね。
 でもミーハー的な愛情を込めて書いている。

何故か小田実の小説を読んでまっせと友に告げると笑われる。そう言えば小田実はうまい小説家やねと、聞いたことはない。だけど、私の体質に合うのか気軽に手にとってしまう。寝っ転がって長編でも物ともしない。暑さも気にしないで、読了したが、やっぱ、変わっていないなあと慨嘆した。「官憲横暴」なんて言う死語を黒川老人に喋らせもするが、ベトナム難民グエンや黒川が「夫婦ごと」するのに何とか奮い立たせるのにアメリカの薬が効果あるから使ってみんしゃいと、園子達が教えてもグエンは枯葉剤に黒川は第三者アメリカ)が介入するのはいややと、それより、茶飲み友達でいきまひょと、いじましい。でもその黒川はダイナマイトを腰に巻いて神戸大震災の追悼式の会場に向かう。このあたりべ平連的な不能であっても、女に愛情深い黒川老人が仮設住宅の別荘で園子と愛の巣でも営むのかと微笑ましい興味を持ったのに、突如として、原一男の映画「ゆきゆきて神軍」のおっちゃんになる。そう言えば彼はこのあたりで電気屋を営んでいたはずである。ひょとして、元日本陸軍上等兵として、黒川老人と戦友だったかもしれない。まあいい、あの国政選挙にも立候補したピストル持つおっちゃんに仮託してどんなテロリスト物語を始めるのかと、手に汗を握ったらなんと、あっけなく、超高層ビルから乗り込んだタクシーの後部座席で栗本慎一郎は生還したが、全く何の予兆もなく、「脳梗塞」で非業の最期でなく、最後を遂げる。最後は最後です。最期ではありませんと小田は辞典を引用して講釈する。しばし、私は絶句した。こちとらは黒川のテロ行為をどんな物語で収まりつけるのかとその事が聞きたいのに、又、そこから「深い音」の恐怖を炙り出すのかと、固唾を呑んだ。梯子を外すなんて、脳梗塞で終章とは余りに安易過ぎるのではないか。続く>>http://www.bk1.jp/review/0000126324

 小田さん、あなたの遺産を受け継ぐ人々が沢山、いらっしゃると思います。安らかに、今度は、石原慎太郎の「鳥の眼」より高見の「天の眼」でこの世を見守って下さい。多分、そんな「高見の眼」を嫌って、「土竜の眼」で見るなんておっしゃりながら、「深い音」を聴く振る舞いを、死しても尚、選んでしまう小田さんだと思いますから、最後の木が倒れる警告を地中深くから、この世に発信してくれると思います。
 手に入れるのが難しいかもしれないが、個人的には現代史〈上〉―長編小説 (1979年) (角川文庫)現代史〈下〉―長編小説 (1979年) (角川文庫)も好きですね。
 参照:http://d.hatena.ne.jp/masaishii/20070730/1185746324