結論を関係なくする思考法

 追記:確かにid:n-291さんの言うように、どうせ動画をアップするなら、こちらのNHK視点・論点ー「シリーズ戦後 『若者のナショナリズム』」をアップして欲しいですね。
 ★菊池先生の例があったじゃあないですか。
  アイロニカルな没入は、演技しているつもりが演技させられている事態を招来させてしまう怖れが確かにある。

 昨夜のNHKの特別番組(憲法九条を考える)で、赤木智弘さんが録画出演していましたが、なかなかハードボイルドな佇まいで絵になっていましたね、ドキュメンタリーの映画を撮ったら面白いんではないかと思いました。喋ると、強面とミスマッチで優しい。それがいい。ファッションも決まっていた。NHKのカメラマンがベンチに座って憮然とした赤木さんの表情をとらえていたが、あの沈黙は良かったです。
 それはそうと、『ナショナリズムの由来』の出版CMなのか、プロモーションアニメなのか、大澤真幸さんのこんなyoutubeがありました(ミクシィコミュから)。
 2006年9月号に収載の保坂和志×大澤真幸『「自由」の盲点』を読みましたが、保坂さんはこんなことを喋っている。

 結論だけで生きている人がいますよね。さっきのマルクスの話で面白いと思ったのは、マルクスの結論は月並みであった。提示している問題ほど面白くない。それは大澤さんにも当てはまると思うんです(笑)。「<自由>の条件」も、最後の結論部分で……。
 最近思うんだけど、結論って要るのかな。結局どうなのと聞きたがる人を自分の周りから減らすことがまず第一歩なんだけど、自分の中にある結論を、いかに結論を関係なくする思考法にするかというのが、どうも僕自身がやっていることらしいという気がするんです。/「…」

 大澤さんのこんな喋りを受けてなんですが…。

 「…」/去年書いたことなんだけど、マルクスホメロス叙事詩についてこんなことをいっている。ホメロスを読むと何千年も前のものなのに感動する。どうしてだろうか。マルクスは、何千年も前のギリシャの社会構造と現代社会の構造にどこか通じるものがあるので、今われわれが読んでも心を動かされるんだみたいな、わりと平凡な解答で落ち着いてしまっているんだけれど、僕はちょっとこの解答は違うなと思うんです。そんなことで人は感動しているわけじゃないんだと。/「…」

 上のNHKの討論番組で、いつも最後まで見ることが出来ないのは「YES」、「NO」の二択で、「結論がまずありき」の振る舞いがどうしてもリアリティを持って訴えてこないためだと思う。
 結論はどうだっていい、ぐちゃぐちゃになりながら、みんながやりとりをするのが聞きたいわけですよ、勿論、いつかそのときが来れば、いずれかを選択しますよ、そういうこと。それまでは、内緒、というよりは、揺れているわけ。それでいいんだと思う。統計数字なんて最後のところで、僕は信じていない。賭ける根拠は数字ではない。
 しかし、どうしてこんな動画がアップされたのか、わからない、それが面白いのかもしれないね。

ナショナリズムの由来

ナショナリズムの由来

 いつか、茂木健一郎さんともじゃもじゃ対談をやって欲しいですね、『「起源」(由来)問題』なんていいなぁ、上に紹介した群像9月号(2006年)には吉本隆明×中沢新一の対談『超人間、超言語』も収載されているんですが、この二人の対談も、「どこまでも遡る起源問題」だと思う。