「オタク」と「サブカル」とは(1)
- 作者: 菊地敬一
- 出版社/メーカー: 新風舎
- 発売日: 2005/12
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今、現在流通している「オタク」と「サブカル」理解のズレがあるかもしれないが、僕自身が体験した(っと言っても、サブカル体験であって、オタク体験ではない)記憶と付き合わせても色々と腑に落ちることがありました。特にサブカルの表象として「ヴィレッジヴァンガード」を出してくれたことは、脳内スッキリしたわけですよ。
「オタク」の表象として「コミケ」の登場もそうです。ノンポリ学生だった僕はヤングマンメーカーに就職して「アイビー」とか「コンチ」とかオシャレに関心度の高い若者だったわけで、1968年、ある日、ふらりと、大阪を飛び出して、新宿、横浜へとフーテンして「おもちゃ、ホビー・音楽と本」というコンセプトの本屋さんに就職するわけ。今から思うと、この本屋は「ヴレッジヴァンガード」の先駆けのような本屋さんだったわけで、ただ、書籍部門と玩具部門とかはっきりと分かれていて、同じ店内に本・コミック・CD・ホビーなどが混在したわけではない。ヴィレッジヴァンガードはごちゃ混ぜにしたわけです。越境して、「サブカル」という物語を商品化したということでしょう。
大雑把にまとめるならば、オタクは漫画、アニメ、ビデオゲームなど(およびその愛好家)であり、サブカルは文学、ポピュラー音楽、映画など(およびその愛好家)である。またオタクはファッションに無頓着で恋愛経験に乏しく、サブカルはファッションに敏感で異性と盛んに交際しているとされているが、これは通俗的なイメージにすぎない。しかしこのようなイメージが流通する程度には、オタクとサブカルのあいだにライフスタイルや雰囲気の違いがあるのは事実である。
確かに粗いのですが、僕の仮枠に収まってしまう。その疑念のなさが問題ではあるのですが、
1986年に第一号店が開店し、その後は全国に支店を広げている「ヴィレッジヴァンガード」(Village Vanguard)が典型である。「ヴィレッジヴァンガード」の店内には、いかにもサブカルが好みそうな書籍、CD、雑貨が所狭しと並べられいる。たとえば漫画のコーナーでは、先に説明した「サブカル系」の作品が優先的に陳列されている。サブカルの話題作は、ヴィレッジヴァンガードに通っていれば手に入ると言ってもいい。しかしこの店に嫌悪を示す年長のサブカルは少なくない。「『サブカルとはこういうものである』と消費者を囲い込む経営方針が気に入らない。
確かにそのような啓蒙臭さを嫌う人がいる。僕の周辺でも「専門書店」(セレクトショップ)として「やりたいこと」を前景化しても当初の目新しさが過ぎると、敷居の高い「うざったい本屋」さんとしてお客さんの足が遠のくことがあった。そのような啓蒙さを忌避する流れが段々と本流となって、オタクが勝利を収めましたということに相成ったのでしょう。
そのあたりの経緯は本屋の店頭で記述した、いわば、ポストモダンの街の本屋のメッカでもあった80年代のリブロ池袋店の店長であった田口久美子の『書店風雲録』、そして、ライトノベルの音痴ぶりを発揮する第二作目のジュンク堂池袋店にリクルートされた田口久美子の90年代の『書店繁盛記』とを会わせて読むとその辺の事情がよくわかる。
http://d.hatena.ne.jp/kuriyamakouji/20070624/p1
http://d.hatena.ne.jp/kuriyamakouji/20060228/p1
http://www.bk1.jp/product/02390206/reviewlist/
特にみーちゃんさんのレビューで、《でまたまた私は田口の古さを感じるんですね。団塊の世代の匂い。ちなみに私は前作に「で、意外と田口って古いなあって思うのが、再販制に対する姿勢。(中略)少なくとも再販制に対する姿勢に関して言えば、日本の出版文化が将来にわたってどうあるべきかという視点が全く見えてこない。そういう意味で言えば、この本に欠けているのはユーモア(車谷長吉の部分は、車谷自身の凄さに負うところが大きいと思う)だろう。どうも田口が自分で全共闘世代と名乗るように、その枠を超え切れてはいない気がしてならない。」と言い切っています。》……、みーちゃんさんの視点はオタクの人がもし、「サブカル」を批評すれば多分、こんな物言いになると思うのですよね。僕も「サブカル・ジジィ」として批評されるだろうなぁ。
長くなりそうなので、この続きは明日以降にします。
そうそう、このテキストは外国に対しても発信していて、フランス語訳があります。(註:このエントリーはフランス人の読者を相手に、フランス語に訳されるのを前提にして書いたものです。日本語として不自然な表現や、まわりくどい説明があるのはそのためです。なおフランス語訳はL’ « otaku » et la « sabukalu » au Japon.になります)
id:kinkiraboshiさんの「おたくとヴィレッジバンガード」の記事を読むと、おたくは「サブカル」(ヴィレッジヴァンガード)にバリアを感じるのだなあとナットクしました。
しかし、久しぶりに画像の本をアップしたら、文庫になっており、何と「新風舎文庫」じゃあない、マイッタなぁ…。相変わらず協同(共同?)出版社は生き延びて頑張っているということか。出版業界全体の売り上げがそれで伸びるのなら、それもいいかも。後は自己責任で冷静に「自己表出」の間口の広いツールとして利用すればいい。ただ、広告塔でない出版の場合、それ相応の身銭を切ったリスクがあるということです。
金より自己実現で、救済、癒されることもあるということでしょうか。
共同出版社系のムーブメントと、ライトノベルを始めとした「オタク系」とどこかで繋がっているみたいだなぁ、そんな気がする。
参照:http://blog.hibi.her.jp/?eid=264513