ゼニでっせ、

 このjanjannewsの記事「橋下知事へ 非常勤職員には「給与カット」ではなく「待遇改善」を!」は、僕が言いたかったこと、訴えを過不足なく語っていますねぇ。
 記者は県庁職員として労働、福祉や医療などを担当し、私生活では非常勤労働者の問題に取り組んできた人なので、記事の端々に説得力がある。

もちろん退職手当のカットなどは、正規職員にとって人生設計が狂う話で痛いのですが、それは大阪府職員の労働組合が今後、主張していかれることでしょうから、私はあえてここでは詳しく取り上げません。

 かような禁欲的なスタンスにもかかわらず、記者は核心をついた問題点をあぶり出してくれる。このブログの[赤木の森@]カテゴリーで散々言及している正規と非正規職員・非正規社員の格差の問題でそのあたりをスルーしてまだまだ、大阪府の財源は余裕がある、夕張とは違うんだという楽観主義に裏打ちされて、別の記者によるjanjanの記事「橋下大阪府知事の削減方針に府職労が反発」で、大阪教育大学の高山新教授の「標準財政規模が1兆4035億円で一般家庭でいえば、年収のおよそ4倍の住宅ローンを抱えているようなもので、持続的な財政運営は可能です」という講演発言が採録されているが、僕はどうしてもかような発言には違和感があのです。切羽詰まってからでは遅すぎる。多少の余裕があるうちに、むしろ、非正規職員の待遇改善をはかることで、行政全体の府民サービスの底上げをアクティブに実施して戴きたいものです。
 例えば、真偽のほど、実態はどうなのか、多少の疑念があるけれど、かような記事が報道されてしまう脇の甘さがあると思う。

【〜 府派遣職員1人の人件費が年約1000万円に対し非常勤職員は約150万円。あまりの格差に橋下知事は「給与差はどこにあるのか。もう財団法人を視察してもしかたない。大阪から財団法人の構造を断ち切らなきゃいけないメッセージを発する」と全国的な財団法人改革の旗手に名乗りを上げた。 〜】
橋下知事、派遣と非常勤の給与格差にあ然〔nikkansports.com〕より)

 ベーシックインカムの構築は最優先の行政的課題でしょう。労組であれ、それを前面に出さなければならない。A層(富裕層)、B層(安定層)、C層(貧困層)という階層のもとで、B層がC層を前衛に出してA層から剰余を勝ち取ってB層がより膨れて所得アップして、その滴りをC層に廻すと言った循環はやめてもらいたいです。前衛に出るのはB層であって、ベーシックインカム、ワーキングシェアのシステムを整備しながら、C層を下支えする。そうすることで、始めて橋下知事に強いことが言える。

しかも一方で、府庁から派遣されている「えらい人」は往々にして、その現場施設の扱っている分野に無理解でやる気がないということを、大阪府民である複数の親友から聞いています。「えらい人」が「非常勤」をこきつかうのではなく、「みんながそれなりに食える給料で、それなりに専門性をもって仕事に取り組む。」そういう府にするべきでしょう。(http://www.news.janjan.jp/government/0805/0805237781/1.php

 こんな風に言われる隙を見せてはダメだと言うことです。
 そうでなければ、C層はカネがなくともA層の政治家たちから承認という幻想の誇りを与えられ、排除のギアをトップにして「厭わしいも」にアクセスする。公共性やナショナリズムは、フレッシュで魅惑的な動員力を持っています。という『ポスト消費社会のゆくえ』での上野千鶴子氏の悪寒はわかる。

もちろん大阪府に限らず、私の地元の広島県内も含め全国的に、人権や福祉、社会教育などの分野では「使命感に燃え、低賃金にも我慢する気風」があり、さらに分野によっては、昔「比較的余裕のある家庭の主婦が、夫に扶養されながらボランティアで取り組んでいた名残」もあり、低賃金となっているという面があることは承知しています。だが、いつまでも「善意」を当てにしていては、サービスが崩壊しかねないと危機感を抱いています。(http://www.news.janjan.jp/government/0805/0805237781/1.php

 このような流れを断ち切らなければならないと思うわけです。そのタメにB層がアクティブに行動すべきでしょう。そうでなければ、赤木智弘氏のような「希望は、戦争」の言説を生みだす。
 テレビのニュースで府知事と大阪府職員の対話が報道されていたのですが、質問する職員の一人が来年定年を迎え給料が下がれば、いかに暮らしが大変で息子を大学にゆかせることもできない。何とかして下さいよ、みたいなフリで、そういうことを言うことで大阪府民の同情を得ることができるみたいな戦略がなさけないですね。というか、KYで甘すぎる。まあ、報道なのでその前後は分からないが切り取ったものとしてメディア化され、一人歩きする。
 せめて、大風呂敷でもいいから、ホラでもいいから、大阪府民のため、効率良く住民の末端まで行政の手がのびるような、そんな風通しのよいシステムを知事が本気に一緒になってやろうじゃあないか、と言うなら、年収が12%減とは言わず、それ以上でも構わない、知事!府民のために、カネ、カネとだけ言わないで一緒に知恵を出し合って、頑張りましょう!」みたいな戦略が府職員達に欲しいねぇ。 単に同じステージで闘うのではなく、別のステージを提示するのです。単なるゼニの分捕り合戦なら、大阪府民から見れば、妬みの囁きで、府知事を応援する可能性が高い。カネがあっちにいくか、こっちに行くかの違いだけでは、しょうがないではないか。
 公務員制度改革が成立して、渡辺喜美氏が涙の記者会見をしましたが、橋下知事の涙と違って、こちらの涙はぐっとくるところがありました。

地方公務員制度の改革及びそのスケジュール
 地方分権の進展等に対応し、地方公共団体が住民に対し質の高い行政サービスを効率的・安定的に提供していくためには、地方公務員が、身分保障に安住せず、その持てる能力を最大限発揮し、地域の諸課題に取り組んでいくことができるようにすることが必要である。このため、地方公務員制度においても、能力本位で適材適所の任用や能力・職責・業績が適切に反映される給与処遇を実現するとともに、地方分権に対応して政策形成能力の充実等を図るための計画的な人材育成、民間からの人材を始め多様な人材の確保等に取り組むなど、地方自治の本旨に基づき、地方公共団体の実情を十分勘案しながら、国家公務員制度の改革に準じ、所要の改革を行う。
 今後の地方公務員制度の改革スケジュールについては、国家公務員法改正と同時期に地方公務員法の所要の改正を行うこととするなど、関係法令の整備を進め、国家公務員制度の改革スケジュールに準じて速やかに改革の取組を進めることとする。 ー(「公務員制度改革大綱」より