岡本一平『刀をぬいて』

九ちゃん刀を抜いて [DVD]

九ちゃん刀を抜いて [DVD]

図書館のリサイクルでもらった吉行淳之介丸谷才一開高健=編集の『現代日本のユーモア文学』を寝転がって読んでいたのですが、頭がムシムシしている時は最適ですねぇ。一陣の涼風が通り抜けて多少気分が良くなりました。
収録作品を紹介
(1)井伏鱒二白毛」、「夜ふけと梅の花
(2)三好達治「ちっっぽけな象がやってきた」、「酒肆長谷川壁土の戯画に寄す」、「橋の袂ーー」
(3)吉行淳之介「悩ましき土地」、「皿の苺」
(4)岡本一平「刀をぬいて」
(5)司馬遼太郎「喧嘩草雲」
(6)佐々木邦「閣下」、「小問題大問題」
(7)田村隆一「リバーマン帰る」
(8)池田満寿夫「ミルク色のオレンジ」
(9)田中小実昌「教授と娼婦」
(10)内田百けん(変換できないから、けん)「特別阿房列車
結構、リサイクル本の雑本が面白くてやめられないことがあります。
こんなにも面白い本があるのに、あまりにも新刊点数が多すぎると思ってしまう。
岡本一平の『刀と抜いて』は江戸時代のニートな若者が、夜泣きそば屋の両親の家で三食昼寝のぐうたら生活をしていたのですが、両親も可愛い気のある息子(とうに20歳を越えているのです)を働かなくてもいいよと何とか食わしていたんですが、景気が悪くなり、昔ながらの夜泣きそば屋が立ちゆかなくなり、泣く泣く、息子を家から追い出す、息子は了解して、侠客として自立の一歩を歩む。スキルもなく、面倒くさがりの息子が出来る仕事と言えば、大名か侠客で、大名になるには血筋が必要で、選択肢は侠客しかない。商家で丁稚奉公なんて端から選択肢にない。単純肉体労働もダメ。そんな若者なのです。両親は、布の切れ端をかき集め、質屋からしけた古びてカビの生えた日本刀をもらってきて、とにかく息子のために身支度をしてやる。
だけど吉原の高窓花魁に出会い、無垢で無手勝流の息子(三五郎)は幡随院長兵衛に気に入られたり、町奴として自立するわけです。それから抱腹絶倒の物語が進行するわけですが、何と、家光が帰依した沢庵和尚から、沢庵漬けの奥義を伝授され、花魁高窓と夫婦になり、恋のためなら、労働も厭わない。「沢庵屋」として起業果たし、夜泣きそば屋の両親も引き取ってめでたしめでたしとあいなるわけです。
映画化もされていたんだ、レンタル屋さんにあるだろうか…。