植物系/動物系

草食系男子の恋愛学

草食系男子の恋愛学

bk1のレビューで森岡正博の『<草食系>男子の恋愛学』がアップされていた。面白い書評でした。
http://www.bk1.jp/review/0000467774
吉本隆明の声と言葉』の16トラックの(1994年「生命について」)で言う「植物系/動物系」についての語りは、森岡さんの<草食系>、<肉食系>とちょいと関係があるんではないかと思うから、テープ起こしの文章を引用してみます。ある時は<草食系>、又、ある時は<肉食系>と無意識に二刀流で使い分けているのが通常であるだろうから、吉本さんの言葉は当たり前なんだけど…。

 […]人間というものは植物とか動物をみんな体内に総合しちゃって持っているから、外界の環境というものも大切なんだ、ということです。
 つまり、植物としての人間は、緑が多いほうがいいということがあるわけですし、また、動物としての人間は、行動しやすくできている社会のほうがいいというふうになります。人間としての人間は、そういうことを全般に考えて、よりよい社会というのはなんなんだ、という、よけいなことみたいに考える、そういう能力も人間にはあります。
 どこが愉快かって、つまり緑が大切だっていうけど、緑があるとどこがいいんだ、といったらそれは肺臓系とか内臓系がいいわけですよ。人間の中の植物が「そういう環境がいい」と言うわけで、それだけのことです。動物としての人間にとっては、行動しやすく考えやすい環境がいいわけです。それから人間としての人間にとっては、それら全部を総合できるということがいいわけで。
 環境問題を言うならば、その3つを総合して言わないと、人間らしい主張にはならない、ということに、理屈上はなります。
 緑がいいとか、空気がよくなりゃいいとかっていう問題じゃない。それは人間の中の植物器官、つまり自律神経で動いている箇所にとっては、なかなかいいものだよということになりますけども、人間は植物神経だけでできているわけじゃありませんから、その全部にとっていい環境というのはなんなのかということを考察することが、たぶんエコロジカルなことの根本的な課題だと思います。(p59)

結局、<草食系>、<肉食系>という分析で掬い取るものがあるけれど、それによってこぼれ落ちるものもある。そのようなクールな視点で読むことが出来れば、自然とモテるようになるのではないか、モテ系/非モテ系にとらわれると益々、モテなくなるのは間違いない。モテなくていいじゃんと自然に振る舞うことが出来れば、モテる。そんなもんでしょう。