貧困層にターゲットを絞ったビジネス
ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)
- 作者: C.K.プラハラード,スカイライトコンサルティング
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2005/09/01
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- 作者: 中西新太郎
- 出版社/メーカー: 大月書店
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サブプライムローンは、多重債務者にお金を貸して商売をする貧困ビジネスのなにものでもない。7年以内に自己破産したことがある人。3ケ月以上の延滞を起こしたことがある人、というぐあいに信用力の低い個人をターゲットにした住宅ローンの証券化とは、貧困問題を金融工学で「貧困ビジネス」として立ち上げて、政治の問題を市場で解決しようとしたことだ、そもそもそのことが問題ではないか。
本来、政治の問題であったものをマーケットに丸投げしたことが、金融危機の発端ではなかろうか。医療・福祉・教育・貧困等の「いのち・生活」に関わる問題は市場に馴染まない。それさえも証券化して結局、誰かがババを抜くまで、走り抜け、破綻すれば公的資金導入で帳尻を合わせようとする。
そうではなくて、入り口のところで、いわば公的資金導入で福利厚生に金を使い、「貧困ビジネス」が稼働しないように環境を整備する。どうせ、出口で公的資金導入をするのなら、先に使った方が合理的ではないか。貧困層に金が回るようにすれば、内需も拡大する。
中西 市場の中でなんとか生きてくれという要求は、それだけの資力や能力がある人たちだけに向けられているわけではなく、生活困難を抱えていても自助努力で生きなさいということを強要していくわけです。湯浅さんがとりあげて始めて認知された言葉ですが、「貧困ビジネス」という言葉も生まれていますよね。貧困者を対象としたビジネスが成り立つということは、従来ならーー無論まったくなかったとはいいませんがーーおよそ想像ができないような言葉です。実質的には貧困者を食い物にすることが、ビジネスと考えられてしまう。これもいつ頃から、どのように進んできたのかを考えていく必要があると思います。
湯浅 『貧困襲来』にも書きましたが、ひとつにははっきりとグローバリゼーション、民営化の流れがあります。行政が公的領域から次々に撤退して市場化し、そのエアポケットの一部を貧困ビジネスが埋めているということです。ただ、それだけでは説明できないのかなとも思っていて、それは何なのか……
中西 多重債務というのも以前から存在したといえばしたのですが、最近は徹底的というか、貧困層を債務状態に固定してずっと搾取していくようなビジネスの形態としてある。昔にももちろん一部に存在したかもしれませんが、こんなに徹底して、しかも大々的におこなわれるというのはなかっただろうと思います。ー中西新郎編×雨宮処凛・中島岳志・湯浅誠・栗田隆子・杉田俊介『1995年 未了の問題圏』p164よりー
そのように大々的に金融工学で証券化されて流通した「サブプライムローン」はまさに「貧困ビジネス」を象徴するものでしょう。現在のようなアメリカ型のマーケットが稼働するなら、第二、第三の姿を変えた「貧困ビジネス商品」が登場するでしょう。今回は住宅であったが、例えば、皆保険が破綻させられて医療の「貧困ビジネス」が登場するかもしれない。
衣食住・医療・教育に関して「サブプライムローン」のような貧困ビジネス証券が登場するのだけは何とか防ぎたいものです。
まあ、だいたいかような質問をしたのですが、舌足らずだったので、僕なりにこのブログでまとめてみました。