自分で自分の首を絞めないで、


参照:http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/2009/01/no_479.html
何故、極端から極端へとぶれるのか?
むしろ、平和な時に思いきった改革をして欲しい。しないからこそその付けが今更ながら噴出しているという見取りも出来る。
中川秀直のこんなコメントならまだわかるんだよねぇ。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/cash_benefit/?1231324932
小泉改革の問題も不徹底さにあったと思う。「議員の定数削減や一院制(の議論)、(議員)給与のカットや返上まで(給付金支給と)同時にやればいい」(中川秀直
特に「議員の定数削減や一院制」を最優先でやった上での構造改革ならまだしも、そうではなかったからねぇ。
橋下改革がポピュラリズムと叩かれながらも、給与カットは問題ありと、人事院勧告を受けながら、圧倒的な大阪府民の支持を得ている一つに職員の給与カットという英断か、蛮行か、どちらとも言える断行があったわけですよ。
それから、ワークシェアリングもそこに同時並行にペイシェアリングがないと、実効性に乏しい。そのことを受け入れた上でワークシェアリングに賛成するのかが問われるべきでしょう。
少なくとも、麻生より上げ潮派中川秀直には、そんなセンスは感じられるなぁ。
保坂和志◆◇◆今の禁煙・エコは変だ◆◇◆ (神奈川新聞2008年12月27日)を読む。
保坂和志がかような社会問題にダイレクトにコメントするのは珍しい。その通りなんだよねぇ。次に引用している内田樹著作権に関する批判もあたりまえのことなんだけれど、特にマスコミのコメンテイターはこんな正当な意見を言わないねぇ。だから、この世界は益々閉塞感が高じてきて、毎年全世界で交通事故の犠牲者が120万人、本の売り上げも毎年減とおかしくなっているわけです。

喫煙を規制するなら酒も同じだけ規制するべきだ。それをしない現在の喫煙の規制は「何かしています」というアリバイ工作のようなものとしか私には思えない。
 自動車の害は言うまでもない。轢かれたら即死だ。公共交通はともかく、遊びに自動車を使う必然性なんかどこにもない。飲酒運転禁止でなく、「運転禁止」にすればいい。非正規雇用労働者を切りまくっている今こそ、「運転禁止」「生産中止」の絶好の機会だ。

ちょっと過激すぎるかなぁ、僕は保坂さんのこういう野蛮さを評価するねぇ。
◆次に内田樹読者と書籍購入者 - 内田樹の研究室ですが、
「正しさ」を絶対化して言及する胡散臭さに前口上で触れているのですが、保坂和志のエッセイの前段もそうでしたねぇ。安易に決まり文句に寄りかからないで、自分の頭で考え抜く。その果てのコメントの軌跡が見えるから、保坂さんや、内田さんの一文は面白い。

もし著作物が一人でも多くの読者に読まれることよりも、著作物が確実に著作権料収入をもたらすことが優先するというのが本当なら、物書きは「あなたの書いた本をすべて買い取りたい」という申し出を断ることはできないはずである。買った人がそれを風呂の焚きつけにしようが、便所の落とし紙にしようが、著作権者は満額の著作権料を得たことを喜ぶべきである。/と言われて「はい」と納得できる書き手がいるであろうか。/ネット上で無料で読もうと、買って読もうと、どなたも「私の読者」である。/本は買ったが、そのまま書架に投じて読まずにいる人は「私の本の購入者」ではあるが、「私の読者」ではない。/私が用があるのは「私の読者」であって、「私の本の購入者」ではない。/著作権についての議論ではどうもそこのところが混乱しているような気がする。/もの書く人間は「購入者」に用があるのか、「読者」に用があるのか。/私は「読者」に用がある。/読者の中には「本を購入しない読者」がいる。/図書館で読む人も、友だちから借りて読む人も、家の書架に家族が並べておいた本を読む人も、ネットで公開されたものを読む人も、さまざまである。/どれも「自分では本を購入しない読者」たちである。/だから、彼らの読書は著作権者に何の利益ももたらさない。/けれども、おそらく「本読む人」の全員はこの「本を購入しない読者」から、その長い読書人生を開始しているはずである。/私たちは無償のテクストを読むところから始めて、やがて有償のテクストを読む読者に育ってゆく。ーhttp://blog.tatsuru.com/2009/01/07_1103.php

長々と引用しましたが、内田さんの趣旨に拠ればこのような長文の引用も大歓迎でしょうw。
ところで、日本文藝家協会が今問題にしているのは「検索エンジン」の違法性である。そこが腑に落ちない。
むしろ、検索エンジンが出版物の売上げを下支えしているという想像力が日本文藝家協会にはないのであろうか?
利便性のある「POP」ではないか、書店員の手書きの「POP」とコラボして販促につながっていると思う。
そりゃあ、細かく検討すればプラスの面、マイナスの面もあるけれど、差し引きプラスだと思う。
こんなツールがなければ本の売り上げはもっと下がっていたというのが僕の見取りです。
問題は年間新刊点数が7万点以上という自転車操業になっている偽札つくりに似た異常な出版流通システムです。
協会で問題にすべきは著作権」よりまず「委託再版維持制度」を検証すれば良い。
◆ところで、僕が図書館で借りて読み終わったのに、どうしても手元に置きたくなった内田樹の本があります。『死と身体』(医学書院)、『他者と死者』(海鳥社)です。年間、図書館で、借りる本は300点を超えます。でも、ちゃんと読むのは数十冊です。数頁読んで、返却するのがほとんどです。それから再読したい本を購入するわけです。勿論、それでも本屋に入ると、衝動買いをすることが多い。ブックオフなんかでも買う。そうやって、知らぬ間に本が増える。
そんで、時たま、病院の図書室や、図書館に寄贈したり、友達にあげたりするのですが、不思議と本が減らない。というのは、地元の図書館のリサイクル棚が充実しており、意外な本が手に入ることが多いのです。
まあ、協会は読まなくてもいいから、本を買って欲しい。積ん読率を向上させるためには、ネットで立ち読み、本屋で立ち読み、試聴ならず、試読をも著作権法を持ち出してやらせたくないのでしょう。
だけど、僕のような腹立たしい行動をとる読書人(消費者)が結局、問題があっても売上げに貢献しているのです。
年間、無料サービスで300冊の本を借りていても年間、数十冊の本を購入してくれる人はそんなに多くないでしょう。そんな無料が有料を生むビジネスモデルを真面目に考えて下さい。そうでないと、自分では「正しい」と思っていることによって「自分の首をしめる」事態になってしまう。
参照:新文化 - 出版業界紙 - ニュースフラッシュ関連ページ
「古屋社長は100年間にわたって運用し、空気のような存在だった委託制度を「業界の誰も幸せになっていない」制度として構造改革の必要性を訴えた。」
そりゃあ、そうだろうねぇ、だけど、問題は正味でしょう。書店マージンが40%のビジネスモデルが可能かどうか。
◆過日、ETV特集吉本隆明が登場したが、現在、膨大な音源がセットで売り出されているが、糸井重里によれば、ゆくゆく、全音源を無料でネットで公開すると言う。有料/無料とを巧みに組み合わせてビジネスモデルを構築する糸井さんは、さすがと思わせるが、日本文藝協会にはそんな知者、戦略家はいないのでしょうか。自分で自分の首を絞めている。こんなセンスなら、本は益々売れなくなる。