10年前の癌シンポジウム

最新ニュース:http://mainichi.jp/select/today/news/20090521k0000e040040000c.html
今月の24日、午後2時〜4時半、大阪のドーンセンター7階で開かれる医療フォーラム「身近な病『がん』を理解しよう!」の参加申し込みを電話で只今しました。(電話06-6314-1652)

ケーススタディ がんの痛みをとる!―これならすべての医師が痛みをとり除くことができる

ケーススタディ がんの痛みをとる!―これならすべての医師が痛みをとり除くことができる

ドクター中川の“がんを知る”続・ドクター中川の“がんを知る”
講師:中川恵一・東京大附属病院准教授、武田文和・埼玉医科大客員教授
主催:ささえあい医療人権センターCOML
ブログを読むと「予定通り、フォーラムを開催します!!」とのことです。先生達は東京から来阪するわけで、僕も天満橋まで出かけます。200人位集まるらしいです。
ところで、こんなノートの切れ端が見つかった。’98年3月9日に東京日比谷の飯野ホール7階で開催された「前立腺癌シンポジウム」のレポなのです。詳細は’98年3月29日付けの読売新聞に掲載されています。
10年以上前と現在と比較してがん治療の最前線はどう変わったのか、変わらなかったのか、そんな問題意識を持ってシンポに参加したいと思います。
10年前に僕自身もこんなことを考えていたんだと頭の整理にもなります。しかし、10年以上も延命したんだと改めて思います。リンパ節に転移していたんだから、治療としては最適な選択をしたことは間違いない。

前立腺癌シンポジウム1998/3/9】
講師:山中英壽(群馬大医)、赤座英之(筑波大医)、塚本泰司(札幌医科)
◆検診
(1)血液検査PSA(前立腺特異抗原) キッド名を調べる→変換式 基準値は数字を追跡調査(3ヶ月毎の血液検査)
(2)超音波(エコー検診)
(3)直腸触診※外皮が固いと癌の可能性大、しかし、小さな癌や前立腺の奥深いところにあるがんは、直腸診ではわからない。中身→肥大 癌と肥大は別物。肥大から癌になるという因果関係はない。
(4)そして、生検で採取した前立腺組織を病理医が診断するわけです。
◆全摘手術
問題点:括約筋(尿意センサーを傷つける) 神経血管束(インポテンツの危険) 骨髄血管束(歩行困難など)
前立腺+精嚢を摘出する場合が多い。その上、リンパ節郭清→但し、リンパ節切除は癌細胞の進行度を調べるのが第一義。ステージA、Bと言っても前立腺内部に限局が予測出来ない。そのための予防的郭清である。
○僕の場合はステージD1で全摘手術をしないで、放射線治療を選択。順序として最初にリンパ節郭清を行ったわけですが、その時点で4.5mmの癌細胞を発見。郭清切除の意味があったわけです。その後に、1ヵ月以上にわたって65グレイの前立腺放射線治療を行う。

恐らく、2009年の現在なら、全摘手術を選択したでしょう。前立腺癌治療でスキルが向上したのは、全摘手術で上に上げた問題点が殆どクリア出来るようになったのです。
10年前では『ステージC、Dは原則として全摘手術は不可能』だったのです。

1例:術前、ホルモン、放射線治療を行って癌細胞を縮小して手術※原体を出来るだけ小さくして全摘手術のダメージを少なくする。
僕が治療したお茶の水の某大学附属病院の段取りは、当時、インフォームドコンセントが「自己責任」という言葉とともに、巷でよく使われていた。そんな状況もあったのでしょう。僕の治療方針を決めるのに、小教室のような会議室で、現在この大学の教授になっている某医師(当時は講師)、助手、研修医、僕を最初に治療した地元の診療所の女医、と患者の僕と五名で会議を開いて次の治療計画を立てたのです。
今では前立腺癌の権威になっている某医師が主に情報開示をするが、最終決定するのはあくまで僕。
(1)リンパ節郭清、(2)放射線照射、(3)ホルモン療法
※ホルモン療法の効果は1年から2年ぐらいしかない。3年以上経過すると、PSA数値により判断して、タマ取り手術をすべきである。但し、助手、診察医の判断は去勢手術をするならば、ホルモン療法を行う前にやるべきであってホルモン療法の効果がなくなって、去勢手術をやっても意味がない。→女性ホルモン療法の選択のみ。
○精巣(→LH-RHアゴニスト)だけでなく副腎(→化学療法 抗アンドロゲン剤)から分泌されるホルモン療法
 MAB療法  CAB療法
(骨に転移)痛みを和らげる(1)放射線、(2)モルヒネ、(3)化学療法
 記:1998年3月9日のノートから

この十年でもっとも進歩したのは、遺伝子に関する知見でしょうね。後、抗ガン剤も保険適用になるものが増えました。ドセタキセルは2008年8月から保険適用が承認されました。