生存ハンドブック/脱貧困への想像力
フリーター労組の生存ハンドブック―つながる、変える、世界をつくる
- 作者: 清水直子,園良太
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 単行本
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小説 TRIPPER (トリッパー) 2009年 3/25号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/03/16
- メディア: 雑誌
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- 作者: 小熊英二
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 単行本
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ところで、本書の出版記念のトークイベントが9月1日に開かれますね。
http://d.hatena.ne.jp/spiders_nest/20090812/1250064874
◆地元の図書館の棚に『小説トリッパー春号特集「脱貧困への想像力」』があった。雑誌コードなので、担当者に「小説トリッパーは定期刊行で取り寄せることになったのか?」と訊いたら、この号だけ蔵書として取り寄せてということでした。スタッフの判断でしょう。
エル・ライブラリーのような社会・労働の専門図書館ならわかるのですが、普通の街の図書館が置くことの判断に感激して借りたのですが、僕がリクエストしていた小熊英二の『1968【下】』も入荷していました。
生協で夕食の食材を買う予定だったのに、又、荷物が増えました。生協では生きのいい生秋刀魚も入荷。まだ真夏なのに早いねぇ。大きくてぷりぷりの肌。三匹で368円でした。塩焼きにして食べます。
湯浅 […]総じて正規対非正規というのは、たとえば団塊世代対団塊ジュニア世代みたいな感じと重なってしまう。オーバーラップしているところがあるので、世代論的に回収されやすいというのが、構造としてあると思うのです。
驚いたんですけれど、1965年から1975年までの10年間で、名目賃金は500パーセント上がったそうですね。5倍です。月収3万円だった人は10年間で15万円になった。だけど、1995年から2005までの10年は、名目賃金は20パーセントしか上がっていない。つまり実質賃金は下がっている。そうなると、1965年から1975年の10年間に20代を過ごしてきた人と、1995年から2005年の10年間に20代を過ごしてきた人とでは、やはり世界観が変わってしまうと思うんです。65年から75年に精神形成してきた人は、「じっと我慢してこつこつやっていれば、そのうちいいことがあるんだ」と思いがちです。かたや、30代の就職氷河期世代にしてみると、なんでそんなふうに楽観できるのかわからない。それも世代間対立みたいな感じで回収されてしまう。
私はその話をするとき、いつも「支出を見ましょう」と言っているんです。日本は年功型支出ですから、子供が1人から2人に増えれば、家計の負担は倍になる。子供が育っていけば住宅が手狭になって、広いところを借りようとすると高い家賃を払わなければいけない。子供が大学に行くとなったら、世界一高い授業料を払わなければいけない。年を追うにつれ支出が上がっていく構造になっていますから、年功型賃金はもらい過ぎではないと思うんです。ある程度年功型で増えていかないと、生活できないような支出構造になっている。
そう考えると、「正規社員は既得権益を守ろうとするが、あいつらの賃金を削れば世の中は丸くおさまる」ということにはならないはずなんですが、そういう話になってしまいがちです。正規の人たちも、「自分たちは確かにそこそこもらっているけれど、住宅費、教育費、老後の備え、老人介護と、金の行先は決まっている。だから余裕はないんだ」と言えればいいですが、それは見えていないから言ってはいけないように感じていて、「あいつらまともに働く気なんかないじゃないか。スキルアップしていないからだ。俺たちとは違うんだ。」ということで、本質とは違ったところで対立が起こる。そこは丁寧に解きほぐしていかないといけないのではないかと思います。
ーー湯浅さんのお話を伺っていて、今ここにある現実から始めるというリアリズムを感じました。
湯浅 個別対応の現場を持っているからだと思いますよ。たとえば去年、厚生労働省は、生活保護を受けている人が病院に行くときの交通費を出さないので、それに対して運動をしたんですが、そういう時生活保護を受けている人たちに、「政権交代するまで待ってください」とは言えないわけですね。自民党だろうが何だろうが、一日でも早く解決してくれそうなところにまんべんなく当たっていくので、あまりイデオロギッシュになれないわけです。だから与野党含めて付き合うし、「この人たちとはいやだ」とは言えない。追いつめられた人の個別対応をやっているから、まずその状況を進めないと始まらないと考えるわけです。ー『小説トリッパー春号特集「脱貧困への想像力」』p9ー
湯浅誠さんのような人がどんどん政治家になってくれれば、「瞬間冷凍技術」のように随分、この国も希望がもてるんですがねぇ。
今日の毎日新聞夕刊の文化欄「選挙前に読む新書」で『経済成長って何で必要なんだろう?』の記事がアップされていました。リード文では1975年生まれの経済学者、飯田准教授が、貧困問題の論客、赤木智弘、湯浅誠らと話した対談集とある。彼の主張はとにかく(年間)2%の(経済)成長は社会の維持のために必要で、貧困とセットで語られがちな、個人の生きがいなどは<実際問題は政府や政策が手を突っ込むべき問題ではない>。必要な政策は「まず所得再分配、次にリフレーション(通貨再膨張)で最後に自由化。二段革命論。成る程ねぇ。飯田先生は親が『年収300万円時代』という言葉を『みんなが300万円も年収があるほど豊かになる話』と勘違いするような貧乏な家庭で育ったと言うことです。
本書もチェックですね。