リクエスト本

茜色の空六つの星星
リクエストした辻井喬の『茜色の空』を読んでいます。大平正芳は気になる人なのです。

それでもキリスト教思想の伝道者としての彼を疑うことはなかったから、正芳は大阪に来てからの自分の役割の変化を「理論は灰色なり」というところに収めるしかなかった。
 その他にもうひとつ、それならば桃谷勘三郎に断って四国に戻ると言い出しにくい弱みが正芳にあった。図書館に通って翻訳を進めるために資料や関連する図書を探すことが面白くなっていたのである。府立図書館で英語が読めて彼の担当のような形になった女性は、同僚から「栗山さん」と呼ばれていた。見事な長い髪を背中に垂らし、まだどこか動作に少女っぽさの抜けない丸顔で、何のためらいも気取りもなく正芳の顔を見詰め、原作者ナッシュが属していたニューヨークの洋服商について書かれた本や、まだ大恐慌に見舞われていなかった頃のアメリカの流通小売りの状態に触れた著作を探してくれるのであった。
 正芳は、いつか彼女に協力してくれているお礼を言い、勤務時間が終わってから一緒に中之島公園の木の下径を歩きたいと思うようになっていた。(p24)

僕なりに色んな記憶が掘り起こされる。
目に見えない国語の力 - 葉っぱのBlog「終わりある日常」
昨夜来から今朝も雨が降っています。小雨になったら、図書館に本を返却がてら、川上未映子の対話集『六つの星星』(文春)をリクエストします。
六つの星たちは斎藤環福岡伸一永井均を始め、松浦理英子多和田葉子たちと僕自身の星たちでもある対話集なのです。