いい人は思想を語れない/母子信仰

タオ -悠久中国の生と造形- イメージの博物誌 9
吉本隆明のDNA
大阪遺跡―出土品・遺構は語る なにわ発掘物語
四十日と四十夜のメルヘン (新潮文庫)
ナカノシマ大学 - 葉っぱのBlog「終わりある日常」からの続き
藤生京子の『吉本隆明のDNA』で宮台真司の章で、宮台は『いい人』には思想は語れないと言う。このことは僕も含めて(いい人かどうかわからないけど、少なくとも大悪人ではない)、凄くナットクのゆくところがある。前日に言及した『密約』、『茜色の空』の新聞記者にしろ、プロフェショナルは『悪党』さんなんだろう。生き延びている紛争報道写真家達は一筋縄っでは行かない輩が多い。
友だちにはなりたいとは思わないけれど、リスペクトは出来る。そんな距離感を置いていますねぇ。少なくとも「いい人」=「正義の人」だけで、暴力的(いい人と自分のことを思っているから結果として暴力を振るっているという自省がない。)に「関係性」を強要されると一番困る。
「悪い人」には少なくともこちらから批評の矢を発しても「聴く耳」を持ってくれるが、「正義の人」にはどんな批評の矢も届かない。特に「当事者として実感ベース」に支えられた「正義の人」は無敵です。
吟遊旅人:blog版

 テレクラ、援助交際などのフィールドワークを精力的に続けてきたのは、まさに吉本のスタンス、つまり大衆に寄り添う感性を継承していたからだ、と宮台。
「だけど違うのは、僕はそこに、<関係の絶対性>のような、レジュームを乗り越える『いきいきとした』可能性を見出したりしないことです。相手の女に真実を見出すというロマンチックなものは求めないんです。大衆に寄り添えば真実がつかめるとは思っていないし。あくまで、観察のするデータの一つにすぎないんですよ。むしろ大衆は基本的に『ダメ』でしょう。沖縄にもオウムにも可能性はない。そう思っているから」
 だから、ある時期からは、完全に吉本とは方向性が分かれたと思いますね、と宮台は語る。
 宮台のキーワードに「絶望」がある。『絶望から出発しよう』(ウェイツ、2003年)という題名の本もあった。高度成長期までと違い、まったり日常を生きるしかない成熟社会では、矛盾なく解決し、克服しうる単純な問題など、容易に見いだせない。「乗りこえられない」宿命を負っているのが、現代思想なのだ。ありのままの大衆の姿、<大衆の原像>に知識人や国家をも超越する可能性があるとする、つまり「いきいきとしたもの」を見出してしまう吉本は、現代思想の深みがわかっていなかった、と宮台は断じる。
 「いや、人間としては間違っていないと思いますよ。でも僕が言っているのは、『いい人』には思想は語れないということ」
 話が進むうち、宮台は、先に挙げた日本の戦後思想の「反復」について、「日本はバカが多いから」と、もう一度、言った。
 「丸山的立場と、吉本的立場と、多くの人はこっちいったり、あっちいったりしているだけなんですよ、それを何とかせにゃいかんのですよ」(p147)

 先日の中沢新一の『大阪アースダイバー』に言寄せて粗っぽく「図式化」すれば、「東京(アースダイバー)」は丸山的なものが浸潤する土地柄だろうし、「大阪アースダイバー」では吉本的な<大衆の原像>が魑魅魍魎として延々と生き続けている気がしますね。
 吉本的とこの地で言えば「吉本興業的」だと思われる可能性が高い。そんな土地柄です。大阪は…。
 「ウッハ上方」は千日前での現地存続になりましたねぇ。エル・ライブラリーも頑張って欲しい。
 桂きん枝も立候補ですかぁ。
http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/gossip/entertainment/news/20100420-OHO1T00063.htm
 講演で特に中沢が関心を持ったスポットとして生駒山系をあげていたが、ここの生駒山には沢山の「いききとした悪党」が延命している。
 予定通り、「抗ガン剤治療」が始まれば病室から日々「生駒山」を見て暮らすことになるでしょう。
 高校生のおり、近鉄線「今里」に引っ越ししたのに、一度も生駒山に登ったことがないのです。近々元気なうちに登って「生駒山」の「いい人」の「気」も含めて悪鬼を祓ってみますかぁ。
 僕が現在住んでいるところは縄文海進期時代にあっては、河内湾を囲んで、生駒山地を北へ縦断して枚方丘陵、交野台地につながるスポットなのです。西へ向かって河内の入り海で大阪城あたりが岬で、半島であった上町台地につながる。中沢さんには上町台地を中心とした「上町学プロジェクト」を立ち上げる企画がある。台地は生駒も枚方も交野も「高神」(タカガミ」が住むところでしょう。天狗もそうですねぇ。
 そして、上町台地では、四天王寺(半島の付け根部分)あたりで「死の世界」とアクセスする。
 聖徳太子の太子信仰の分布。一寸法師説話など興味ある話が沢山聞けました。
 「再生」(赤子)信仰なんですよ。
 このあたりの地図と人体とを重ね合わせて道教の『タオ 悠久中国の生と造形』という本を紹介して、
 気(エネルギー)の流れを説明してくれたが、森(臓器)と入り江、ちょろちょろ流れる泉から川、そんなイメージなのです。
「女」(子宮)から「再生」の誕生物語。生國魂神社坐摩神社住吉大社一寸法師物語も含めて面白いスポットです。
 今年の正月頃、このあたりを朱印帳を持って歩きましたよ。

 温暖化により海水面が一気に上昇した「縄文海進」によって、現在の大阪市域はほとんどが海の下に。ただ、上町台地だけは沈んでいない。細長い岬のようになっているのが上町台地にあたる。(大阪市文化財協会編『大阪遺跡』創元社刊より)

その他講演で気になったキーワード:「東成区/西成区の『成り』」、「青木淳悟」、『聖天様』*1タモリの『坂学会』*2、『「名古屋」「博多」のアースダイバー』、
 淀川を挟んで対岸にあるわが菩提寺ツィッターを始めています。
 ♪神峯山寺だより(大阪高槻/神峯山寺公式ブログ)