出版状況クロニクル更新

出版状況クロニクル〈2〉2009年4月‐2010年3月週刊 東洋経済 2010年 7/3号 [雑誌]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2010年 6/2号 [雑誌]
小田光雄氏の「出版状況クロニクル26」(2010年6月1日〜6月30日)がアップされました。
出版状況クロニクル26(2010年6月1日〜6月30日) - 出版・読書メモランダム
出版状況を実況しているライブ感があって、相変わらず面白いです。
21.を引用してみます。

21.これも知り合いの出版社から恵送されたのだが、『人文会ニュース』第108号が出た。この号は「本を選ぶときのポイント」と題され、千代田図書館での人文会の「連続セミナー特集」で、吉川弘文館未来社筑摩書房平凡社東大出版会みすず書房の経営者や編集者たちが、それぞれの柱である出版物や自らが編集したシリーズなどについて語っている。これだけの紙幅をとり、人文会が多角的に語られたことは以前にはほとんどなかったので、その意味でも記念すべき号といえるだろう。
 すべてを紹介できないので、筑摩書房の熊沢の話だけに限定する。筑摩書房の編集者といえば、「王様のブランチ」に出ていた松田哲夫が有名であるが、熊沢も手堅い編集者としてよく知られ、「ちくま学芸文庫」編集長を九二年から務めている。 それゆえに彼の話は「学芸文庫」が中心で、とても興味深い。初版六〇〇〇部からのスタート、絶版人文書の「どぶさらい」と「新訳」事情、企画の「文脈づけ」と「星座」の関係などが語られている。
 例によって『人文会ニュース』は非売品だけれど、広く読まれてほしいので、いずれかの出版社での単行本化が望まれる。
[なぜ熊沢の言を紹介したのかというと、この中で営業部時代に書店が主宰するベンヤミンの読書会に参加したこと、リブロに集ったすごい書店人たち、その一人から学芸文庫のラインナップに対するクレームが出されたことに言及がなされていたからである。
 これは名前は挙げられていないが、明らかに元リブロの今泉正光をさしている。実は今泉へのインタビュー集『「今泉棚」とリブロの時代』の編集を終えたばかりで、「本を売ることもひとつの思想である」という帯文を付し、8月には論創社から刊行できると思う。期待されている読者も多いと聞いている。もう少しお待ちいただきたい。
 今泉とはインタビューのために20年ぶりで会ったが、熊沢にはもう30年も会っていない。でも彼も達者で何よりだ。

『「今泉棚」とリブロの時代』ですか、読んでみたいですねぇ。それに『有隣堂100年史』も興味があります。