辺見庸

赤い橋の下のぬるい水 (文春文庫)

赤い橋の下のぬるい水 (文春文庫)

病院文庫にあった辺見庸の『赤い橋〜』は吉本隆明の解説では綺譚小説ということになるみたいだが、泌尿器科の病室で読むと臨場感があってリアル感が倍加したが「水の匂い」より「オシッコ臭い」するホメオスタシス(恒常性維持)的綺譚小説だとは言える。

この濾過システム(糸球体)と再吸収システム(尿細管)の両方をうまく使い分けることで腎臓はあらゆる物質のホメオスタシスを維持しているのだ。糸球体と尿細管が組み合わされたユニットをネフロンというが、それが左右の腎臓合わせ二百万個以上ある。
ネフロンによるホメオスタシスの維持機構は、人体のあらゆるシステムの中で最も精巧にできたものである。その細部についてはまだよくわかっていない部分があるが、一口で言えば、ナノメートルオーダーの沢山のスリットや窓を使い分けることで、さまざまの分子をふるいわけ、物質ごとに濾過したり再吸収したりを繰り返すのである。それによってすべての有用物質を体外に出さないで、しかも血中濃度が一定に保たれるように調整しているのだ。(立花隆『がん 生と死の謎に挑む』p282

ヒロインは尿崩症かいなぁ
尿毒症になると恐怖小説になってしまう。
と、まあ、こんな身も蓋もないことを考えないで
「水を味合う小説」と読むべきか。