何故、再燃前立腺がんに抗がん剤が効くのか?

現在、再燃前立腺がん進行中で抗がん剤点滴をしているのですが、何故、抗がん剤なのか?って言う説明が主治医からなされない。選択肢が抗がん剤しかないとの説明は勿論ある。使わないとの選択もねぇ。
科学的エビデンスがどうのこうのと代替医療に関して質問するとそんなアンサーが返ってくるが、肝心要の抗がん剤がどこまで科学的エビデンスがあるのか?そんな疑念を持っていたら、とても啓発される本にめぐり会いました。垣添忠生前立腺がんで死なないために』1998年刊で古いけど、前立腺がんだけをテーマにアカデミックな質も落とさず患者にもわかりやすく記述してくれている。
最近、近藤誠と立花隆の対談でやりあっている一番のトピックは原発ガンで死なないけど副作用で死んでしまったというブラックユーモアの状況だと思う。
本書は読みものとしても面白い。文学臭みがあるけれどねぇ。はじめにで串田孫一『心の扉の設計図』を引用している。

この扉を、軋ませないように静かに開けると、象が行儀よく座って待っている。小さく優しい象である。そこで、音を立てたり声を出したりしない限り幻影ではない。
象は私を背に乗せて、誰も知らない夜道をゆっくりと歩いて行く。

そもそも「がんとはどういう病気か」と言う言及が本書のようになされていない。96頁から概略をまとめてみます。
人間の身体は六十兆個の細胞で作られているが、一つ一つの細胞の中に核があるわけです。この核の中にDNAが、折り畳まれた状態で収まっているわけです。約一メートルのDNAの上に色々な遺伝子が約十万個ぐらい乗っていて、一つの遺伝子が一つの蛋白質を作っている。前立腺の細胞の核の中のDNAにはPSA遺伝子も乗っており、この遺伝情報がRNAに翻訳され、RNAからPSA蛋白が作られて細胞の外に出ていくという具合。それがPSA数値のマーカーになるわけかぁ。