7/17記(旧ブログから移動)

 bk1のサイトを覗くと“青山ブックセンター倒産”とある。書店員にとって“ある憧れ”をもって語られもした青山が…っと、唖然としました。書店業界に何が起こっているのか?現役でないぼくは浦島太郎になっているのかもしれない。過日、ネット「書店日記」の田口久美子(ジュンク堂池袋店)が書いていたが、業界売上ベストスリーは、紀伊国屋でも、ジュンクでもなく、?セブンイレブン?TSUTAYA?ブックオフで、差異化を図ったクオリティ性の高い店作りよりは、便利で手軽で使い捨ての金太郎飴商法が益々勢いをつけたということでしょう。
 『新文化』の記事をみれば、業界全体の試行錯誤の苦悩が伝わるが、金融機能を果たしていた取次が自分のところの財務体質改善に精を出して、書店を下支え仕切れなくなったことが最大の原因であるだろう。この業界の護送船団方式が綻び始めているのか。
 ファーストフードの方向性に、みんなして活路を見出そうとすると、かような倒産劇は増えるでしょう。小さくても逆方向にクオリアを信じて、そんなことを言うと“霊感商法”かと、お叱りを受けそうですが、まあ、コンビに対抗する商法は、そんな目に見えない付加価値をつける位の“思い込み”と、“マニア性”で金太郎飴を舐めることを意識して拒否する店作りをトンガってやるしかないでしょう。
 「みんなの商法」から、逸脱したプレゼンスは狭くても、深い需要があるはずです。大きな青山でなく、小さな青山を視点に入れるべきです。コンビであっても、最近の流れはアルバイトにも仕入れ権限を持たせるところが出始めている。結局、日銭の入る小売り業は店員のクオリティ性に大いに依存している。そんな店員を育てるにも“小さな青山”でなくてはなりません。今回のことを業界全体の奇貨として、偽札作りに似た粗製濫造の新刊点数の自転車操業に歯止めが入って、長いスパーンでじっくり売っていくのが“本の商法”と、ジミヘンでシコシコ(古い表現だなぁ…)、ヤリマヒョウ、一年で五千部から一万部、コンスタントに売れる本が財であり、宝です。