天皇萌えの世紀?

◆某書店の人文・社会科学担当のNさんに会い、講談社から発刊された白鳥庫吉『国史』について話しを聴き、この新刊情報については知らなかったので驚いたのですが、刷り部数は非常に少なかったらしい。Nさんは日本歴史についてもっと勉強したいとおっしゃっていたが、そう言えば、司馬遼太郎にしろ、作家達はあまり広言しないが、左であれ右であれ、徳富蘇峰(猪一郎)の『近世日本国民史』(講談社学術文庫)全100巻を愛読している人が多い。ぼくも欲しいのだが、学術文庫では僅かに端本で残っているに過ぎない。古本屋で購入は出来ます。大学図書館でも置いているでしょう。『山王草堂記念館』で、蘇峰のプロフィールを梗概すると良いかもしれない。それから、前日からのブログの流れで、大仏次郎に言及したのですが、鞍馬天狗のおじさんは、一方で『天皇の世紀』、『パリ焼ゆ』を書いている。この『天皇の世紀』全十二巻は朝日文庫で発売されており、これも古本屋か図書館で読むしかないですね。横浜に行く機会があったら、大佛次郎記念館には是非とも行ってもらいたいものです。ここは、横浜の人気スポットの上位にランクされるでしょうね。アベックのデイトスポットとしも有名だったが、今も変わらないだろうか?天皇についてではドナルドキーンの『明治天皇』、ハーバート・ピックスの『昭和天皇』は相対化した天皇像を検証するに適当かもしれない。作家の島田雅彦『彗星の佳人』、『美しい魂』『エトロフの恋』で果敢に天皇をモチーフに大長編の三部作を世に問うたが、作家の思い入れが空回りした感が否めない。良くも悪くも、文学好きの読者達を超えて、「セカチュー」のような話題にはまるっきりならなかった。まあ、それでよかったのかもしれない。斎藤環の新刊で『文学の徴候』島田雅彦「天皇萌えの論理」はすごく面白かったです。