不老不死、リアルということ

kuriyamakouji2005-01-28

WXIII 機動警察パトレイバー [DVD]脳の中の小さな神々がん細胞の誕生 (朝日選書 223)脳と仮想
◆山寺のおしょうさんのブログ<方丈>で『リアル』についてやりとりしています。テーマが非常に大きく離陸する方向性によって見えてくる風景は、ある人にはリアルなもの、ある人にはそうでないものと、中々普遍性を獲得するに難しい問題だと思います。ただ、どういう風景を観させてくれるのか、「リアルについて興味のある方」は覗いて見てください。敷居の高い方丈ではないので、カキコ参加もおしょうさんは大歓迎してくれるでしょう。参照として、『風の旅人』の佐伯剛さんのブログ『想像力の荒れ地』を貼り付けておきます。リアルと想像力は不即不離の関係かと思いますので個人的にとても共振出来たのです。昨夜、押井守の『機動警察パトレイバー2』に引き続いて、『WX? PATLABOR THE MOVIE 3』をDVDで観たのですが、荒唐無稽さは感じず、とてもリアルな受信をしました。
◆それは多分ぼくの中に“癌細胞”の不老不死の逆説に、病気治療のおり、癌について学習したおり、一番、びっくりしたことが関係しているのでしょう。不老不死は人類の夢の一つでもあったのでしょう。その欲望の駆動力がやがて科学へと変換された歴史があるのは錬金術の物語と通底する。治療を受けながら考えたことは僕自身が癌細胞そのものになれば、問題解決になるのでは…と、そんな馬鹿げたことを連想したのです。癌細胞という怪物の秘密を知ったのは黒木登志夫の『がん細胞の誕生』(朝日選書)ですが、かように言葉の知による網で想像力のネットは拡がりリアルさは拡がる、そのことは間違いないと思います。ただ、濃度の問題はあるでしょう。でも一番悩ましい問題は、そのリアルさを感じる僕自身が脳であれ身体であれ、受信装置として感応するわけですが、それを記述する僕自身を仮構しなければ、発信できない。そもそも受信そのものも、生のまま受信しているのではなく、言葉であれ、言葉以前であれ、物自体のリアルさとは違った括弧つきの『リアル』さであろう。そんな道筋では無限後退が始まる。
◆踏みとどまるには「神の視点」を挿入するしかないのか、恐らく脳科学者の茂木健一郎のクオリアはそのことについての探求を試みているのでしょうが、下のエントリーで書いたようにリアルを感じる回路のひとつに<鼻がつんとする感じ>なんては、偽造が可能だなと思いました。薬物による超常体験でなくとも、修業によるものでなくとも、精神世界への道があるのですが、茂木さんはそちらの方向に向かわない。向かわないで科学者としてリアルについて考察しているように思います。そもそも、貨幣にとって本物、偽札の基準はなんだろう。同じ位相にある。それを峻別するのは結局、国家と言う暴力装置でしょう。<鼻がつんとする感じ>は幻想装置をとおして偽造は可能だというのはそんな文脈をぼくなりに強調したかったのです。どうも“リアルさ”はどこかで折り合いをつけているのではないか、そもそも、リアル、神、であれ、それらは信仰の中でしかないのではないか、そんなことも考えています。