矢作俊彦/2004,4/5記

『とみきち読書日記』で、とみきちさんが、『ららら科学の子』にとても読書欲をそそるblogをアップしており、ぼくも反応してカキコしたのですが、物語としての完成度は高く、前回読んだ阿部和重の『シンセミア』より、エンターテイメント度も叙情も<私>的には数段、楽しむことが出来た。ただ、文学上の評価は文芸評論家のみなさんにお任せするとして、アトム世代でも、全共闘世代でも、ビートルズ世代でもない、それより上の世代なので、ある程度の距離感があるはずなのに、同調して、この本の中にするすると、自然に入り込めたのは、東京を離れる際に、三十年ぶりにかっての友達たちに会ってタイムトリップした経験が必要以上に、三十年ぶりに東京の地を踏んだ中国に密航した男が見る風景のそれと、まぐわい、主人公に感情移入したためかもしれない。どうも、最近の読書傾向は、このあたりの時代を行ったり来たりしている。
ビートルズの《六十四になったら、君も同じだけ年をとっているはずだ。/六十四になっても、君はぼくを必要としているか。…》そんな年齢に近づいたためであろうか?別に葉っぱ64をそんな積りで命名したわけでないのに、それより、1964年に成人を迎えましたという想いが強い。《空を越えて、ららら星の彼方、/ゆくぞアトム、ジェットの限り、…》
★オマケ:おしょうさん経由で紹介されたフラッシュ作品です。
『あと一週間で消えるとしたら…』