奥崎謙三「バカ野郎人生」ゆきゆきて、神軍 [DVD]

サイパンでの天皇・皇后両陛下の慰霊が連日報道されていますが、映画『ゆきゆきて、神軍』の奥崎謙三がお亡くなりになっていたのですね、享年85歳。この映画はニューギニア戦線で生き残った元日本兵が戦争責任追及の過激で執念深い軌跡を、元上官達を家庭訪問するといった具体的なドキュメント映像を通したり、奥崎を支える肝っ玉伴侶も登場して、原一男のドキュメント映画の代表作だと思います。
ぼくはリアルタイムで観ましたが若い人たちの立見が出るほどの盛況で『ヤマザキ天皇を撃て!』の奥崎が全然へこたれないで意気軒昂な画面での登場振りにただただ、唖然とスクリーンを見やるだけでした。以前、本屋で働いていた折、差出人奥崎謙三ダンボールが店宛に送られてきたことがあります。映画は87年製作ですからそれ以前です。開けると黒い装丁の本が何十冊とある。勿論注文したことのないものだし、奥崎謙三と面識もない。ただ、パチンコ玉事件で名前は知っていた。本のタイトルは『宇宙人の聖書』とある。ぱらぱらとめくっても難解このうえない判読は僕には無理だと諦めました。さてこの面倒をどうするか、その詳細はもう忘れましたが、結局、レジの前にダンボールを置いて欲しい人にあげました。
しかし、今から考えると、全国の書店名簿を元に全く打診しないで、直に本屋さんに配達料は自分持ちで送りつける。その経費たるや膨大ですね、パンフレッドの類ではないのです。多分B6版?で300〜400頁はあったと思う。(手元に本がないので詳細なデータはわかりません)仮にチェックした本屋さんが千店だとすると、5、6百万円の経費はかかっているはずです。
数年後、奥崎謙三は日本縦断の行脚で元上官訪問もかねてか本屋さん訪問もしたみたいです。某店長が会ってお茶したとのこと。「どんな人だった?」「いや〜あ、色々話を聞かせてもらったが、言っている事がなんとも理解しがたかった」
毎日新聞の訃報記事(6/26)から一部引用します。

衆院選に立候補中の83年、上官だった元中隊長宅を訪問し、居合わせた長男に拳銃を発砲。兵庫県警に殺人未遂容疑で逮捕され懲役12年の判決を受けた。
 出所後は一人暮しで、近年は病気がちだったという。昨年8月に自宅で倒れているところを発見され、入院生活を送っていた。死ぬ直前まで院内で「バカ野郎」と叫んでいたという。…

合掌。