墓参り

 久し振りに墓参りです。一番暑い盛りに参ったので暑さでまいりました。墓は丘の上にあり街を一望出来ます。汗だくのまま一気に丘をママチャリで駆け下りて図書館に寄り、8/10夕刊に掲載された保坂和志の『小説の自由』の記事を読む。昨日、保板で話題になったのですが、読売新聞の記事とは又別のもので、朝日新聞なのです。保坂さんは90年に作家デビューしてから小説の読み方が変わったらしい。

「この小説は速いか遅いか、強いかゆるゆるしているのかなどと考えながら読む。読み終わった後はその手探り感に酔う。最初は緊張するし頭を使うし、大変です。そんな手探り感がなく、するする読める小説があふれているいま、書き手として感じる面白さを書かない人にも伝えたかった」

「文学は終わったと言われて久しい。でも文学に限らず近代的自我にとらわれた考えを一度相対化しない限り、21世紀の芸術はありえない。そうした方法として小説はまだ有効だと思うし、少数の人相手にでも、あきらめずに働きかけない限り、物書きとしての説得力はない」

 記事の一部を引用しました。
 本書は単なる小説論でなく、様々な問題にもつながってとても刺激的で腑に落ちる本でしたが、雑誌『新潮』にこれからも連載されるし、連載中なのです。本書を読むと、無性に小説が読みたくなりますね。
 レンタル屋さんによってshohojiさん、村人さんおすすめの『グッバイ・レーニン』(僕は見ていなかった、忘れていました)を借りる。ぴぴさんがシネマ日記で『レビューアップ』していますね、梗概はそちらでご覧下さい。先日梅田で見た『Dear フランキー』の方が映像の流れが自然で感情移入の点ではこちらの方がす〜と、入っていけました。映画としての手法、工夫、大きなテーマといい『グッバイ・レーニン』は映画史に残るかもしれないが、『Dear フランキー』の方が僕の好みです。映画史に残らないかもしれないが、僕の心に残るであろう、<私>的な体験の味わいがある。
 地元の本屋で季刊誌夏号『考える人』を購入。店長が返品する寸前でした。棚差しから抜いてバックヤードに持って行っていたのです。めったに地元の本屋さんで買わないですが、時々覗くと、あまりにも、金太郎飴の濃度が高くなってきているので、たまにはこんな雑誌、本でも買ってはっぱをかける必要があるのです。「次号が発売されていないのに何で返品するんだ」、
 村人さん推奨の【「心と脳」をおさらいする】特集は面白いです。茂木健一郎保坂和志佐藤雅彦鶴見和子、甘利俊一と興味ある著者名が並んでいますが、この特集は哲学劇場山本貴光吉川浩満が構成しているのでしょうか、この特集のための21のキーワード、ブックガイドの案内をしている。おふたりは『心脳問題』を発刊中ですね。