you can keep it(贈与)

インストール (河出文庫)
 kingさんの『内田樹の言説の批判的検討』につながる論考は説得力がありましたね(汗)。
?News Handler[WEBLOG SYSTEM]「働かない者は人間ではない?」
?News Handler[WEBLOG SYSTEM]「いま、大人たちが危ない!」
?News Handler[WEBLOG SYSTEM]内田樹の言説の批判的検討?」
?News Handler[WEBLOG SYSTEM]内田樹の言説の批判的検討?」
 僕自身、『内田樹』ファンを自称するようなことを書いていたので、ボディブローをくらったような痛さでもあったのですが、あまりに的確なパンチなので、ぐうの音も出ません。 結局、内田さんも「俗流若者論者」の一人にカウントされるオヤジに過ぎないのか、もしそうなら、去年からブログでリクエストコールをしていた「宮台真司×内田樹」のトークイベントがありえないのも無理ないですね。でも、『他者と死者』、『死と身体』など、僕の愛読書であり続けるでしょう。
 しかし、労働について、贈与について、底の割れる荒っぽい、内田さんらしくない芸説ですね。僕は内田さんの矛盾に満ちた言説を勝手に誤読しながら楽しんでいた部分は否定できません。しかし、今回は誤読を許さない直截な物言いではありますね。
 僕は働くことに良くも悪くも公私の境界線を不分明にした口で、保坂和志さんの素敵なフレーズ『働くことに思想はいらない。思想がなければ怠けられない』(『人の閾』より)に共感して、「会社」でも学校にしたところで、仕事や掃除当番を怠けられない口だったので、「怠けられる思想人」を羨ましく思ったものでした。
 そうそう、同じ芥川賞作家の綿矢りさ『インストール』を角川文庫から出したのですが、そこに書き下ろしで収録されている『you can keep it』は【贈与病】とも言っても良い大学生が登場します。とてもリアルな短篇で、誰かに贈りたくなる本です。
 あ!そうだ、この本は海を渡りました。
参照:http://blog.tatsuru.com/archives/001572.php#comments
 僕は花田清輝が好きでレトリックの王様だと思うのですが、内田センセイのは時々、キング・オブ・ヘリクツになってしまうことがある。その芸が見事にさえることがあるし、さえないことがある。不快の貨幣、労働…、の一連のお話は不快でした。でも、今まで楽しいお話を読ませていただいたので、僕の懐に内田センセイのお蔭で貯まった「快」の貨幣で今回の「不快」を「等価交換」して、チャラにしましたから、不快の残高はゼロですね。すっきりした気分です。
   http://d.hatena.ne.jp/kwkt/20060318#p2
   http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20060316
   http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20060318
   http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20060319

要するに、内田氏において、「主体は絶えず変化をする」と述べる「主体」は、まったく揺らぎもせず、変化しないのだ。ここに「主体」のやっかいな問題があると思う。このやっかいな「主体」は、最近なら、北田氏のロマン主義アイロニーの問題と関わると思う。内田氏は、「主体」は変化すると考えているが、そのように考えている当の「主体」は強固に、少しも身じろぎもせず屹立としている。この奇妙さに驚くとともに、敏感でなければならないと思う。私には、まだこのやっかいな「主体」をどう扱っていいのかわからない。
   http://d.hatena.ne.jp/merubook/20060314

 メルの本棚で書かれているメルさんの疑念は僕も感じるし、感じた上で内田テキストを読んで楽しんでいるわけです。まあ、矛盾の人ですよ、身体の人と言ってよいのでしょう。
参照:http://d.hatena.ne.jp/eco1/20060320