理系文化人???

 ◆毎日新聞(5/8)の『理系文化人:エッセーが人気 藤原正彦さん、養老孟司さん……大局観に世間が期待』の記事は改めて大多数の読者(恐竜の首)が今何を訊きたがっているのか気づかせてくれますね。
 しかし『国家の品格』の一回の増刷部数が40万部とはびっくりです。藤原正彦さんの文体は叙情に満ちたものらしいですね、でも、知らずに雑誌や新聞の記事でそんなエッセーを読んでるかも知れないが、藤原正彦さんのこの本も、他の本も読んでいないのです。まあ、来年あたり読むかも…、
 先日、ブックオフの百五円コーナーに50万部突破という帯付きの『電車男』があったので、購入しましたが、まさか横書きの掲示板のフレームで製本・印刷されているとは思いませんでした。読み始めは目がチラチラして読みにくくてしかたがなかったですが、段々と興に乗って笑いながら読み進んでいます。しかし、『国家の品格』は200万部ですか、この毎日新聞の記事で藤原さん自身が何故こんなに売れたかを分析していますよ。ちゃんと、4項目に分類している。結局明晰さを「恐竜の首」は望んでいるのでしょうね、不安を楽しむ余裕がない、
 僕は橋爪大三郎さんのコメントにはこっくりしてしまいました。文系の文化人は異分野で発言する場合、既存の常識をひっくり返すことを意図しているために読者には難解で説教臭く感じられるというわけです。そりゃあ、宮台真司さん、大澤真幸さん、内田樹さんも、説教の臭みがあります。でも、僕はやはり、このお三方の本は読みたい、え〜と、大澤真幸の『虚構の時代の果て』(ちくま新書)を何百冊で構わないから増刷して欲しいです。ロングテールの地道な増刷をお願いします。
 しかし、理系の文化人が文系のテーマを論じる時に「こんなことを考えてもみなかった」という意外な点を突いてくるために常識を捨てるという抵抗感が少なくて、関心を持たれやすいとの橋爪さんのコメントは、そうだよなぁ…、本を読むことで、新たな不安の種子を意識させられることはいやなのであって、それが全然ベクトルの違う切り口だと、読者の今までの人生観なり生育が脅かされない気がするのでしょうね、でも、養老さんにしろ、茂木健一郎さんにしろ、辛辣に脅かせてくるのですが、なかなかそこが良くも悪くも気がつかなくさせてくれるのでしょうか、まあ、それは読み方の問題なんでしょう。
 特に養老さんの場合は誤読が多い感じがします。まあ、僕の方が誤読の可能性もありますが、僕とまるっきり正反対の読みをしている人が結構多いのです。