ひだりみぎカジの盥に祈る葉っぱ/赤城の虎

954ピース 京都名所観光鳥瞰図 (34x102cm)
 京都文化博物館に行って来ました。常設の歴史展示室は毎日、午前11時・午後1時・午後3時の3回、コンパニオンが懇切丁寧な案内をしてくれますよ、おじいちゃんが一人、孫娘のような人にガイドしてもらったので、「いや〜あ、いいなぁ…」と耳をそばだてていたら、冷泉家のコーナーで見事な角盥がある。その中に30cm近い葉っぱが一枚浮かんでいる(正確には水が入っていなかったので、空でしたが本来水が入っているのです)、角盥は洗顔用でしょう。でも、こんなに大きな葉っぱでは顔を洗うに邪魔になる。
 それで、思わずコンパニオン(学芸員?)の方におじいちゃんとの間に分け入って質問したのです。葉っぱは「カジ」というのです。冷泉家には大きなカジノキがあるらしい。その木で紙も梳くと言う。背の高い木のなので、登って葉っぱを一枚拝借して角盥に浮かべて「航海の無事を祈る」らしい、「カジは船の舵」でもあるんですって、冷泉家公開の時は僕も訪問させてもらいました。
 でも、今日、京都文化博物館に行ったのはマリア・テレジアとシェーンブルン宮殿展のチケットがあったので、偉大なる女帝の面影でも触れましょうとお邪魔したのでした。やはり、女性の方が多かったです。結構、楽しんで館内をふらふらしていたら、
 何とホールで『山中貞雄特集』をやっている。昭和12年製作の総集編で101分ですが、すでに上映が始まっている、急いで入りましたよ、この映画は見ていなかったのです。ホールは僕より同年か年配の男の人ばかりでほとんど満員、女帝の方とまるっきり顔ぶれが違う。女の人はいなかったんじゃあないかな、
赤城の虎を頭に野武士の盗賊が富士を背景に原野を駆けめぐる。出演は前進座の面々、河原崎長十郎中村翫右衛門が主演ですね、この映画は戦後にも作られ、三船敏郎鶴田浩二の組み合わせです。西部劇と時代劇のいいとこどりみたいな痛快スペクタクル娯楽映画です。1939年は、まだ自由闊達な時代だったんですね。思わぬ儲けものの映画を見て良い気分になりました。