前回の続きエロい語尾変化?

kuriyamakouji2006-10-28

 ちなみに毎日新聞の記事によると、岡崎さんの本に囲まれた人生の始まりは大阪N市の高校時代で、近所の大工さんに文庫専用の五段の棚を作ってもらい「岡崎文庫」と呼んでいたのがスタート。
okatakeの日記
 その記念すべき一冊目は星新一の『ボッコちゃん』で、続いて「第三の新人」に夢中になる。(でも、第三の新人のひとりである小島信夫さんがお亡くなりになりましたね、合掌。)安岡章太郎さんは元気です。岡崎さんが一番衝撃を受けたのは高校三年の時、読んだ庄野潤三の『夕べの雲』で、

 「読んでいる時に、肉親にめぐりあったというか、なにもかもが体にすーっと溶け込んでくるような一体感を感じたんです。一度そういう体験をしてしまうと読書というのはやめられるもんじゃぁないんですね」。そういう意味で「読書には中毒性がある」と断言する。

 現在、『その街の今は』の柴崎友香氏に注目していると書いている。岡崎さんは「均一小僧」の異名通り「100円均一」の古書店めぐりのオーソリティでもあり、松岡正剛さんの書痴ぶりとは又違います。
 念のため、千夜千冊に『ボッコちゃん』で検索すると第234夜にありました。ヘッドラインは「索漠と機知と程度と振幅」です。何のこと?て思っちゃいますね。先日、オリオンさんのデカルト的考察で『ロボットに「情」をもたすことが出来るか』というエントリーがありましたが、ひょっとして、この星新一の『ボッコちゃん』が原点なのではないかと妄想しました。

 そのロボットはとてもうまくできていた。バーのマスターつくった。とびきりの美人である。つんとしているが、それは美人だからしょうがない。ただアタマはからっぽだった。それでもオウム返しと語尾変化だけはできるようになっていた。カウンターの中に入れたら、客が新しい女の子だと思って話しかける。「きれいな服だね」「きれいな服でしょう」「何が好きなんだ」「何が好きかしら」「お客のなかで、誰が好きかい」「誰が好きかしら」「こんど映画へでも行こう」「映画へでも行きましょうか」。こんなぐあいだから、客はロボットにすぐ惚れた。(新潮文庫1971『ボッコちゃん』より)

 しかし、僕も時々同じような喋り方をしていますね、「今日はいい天気ですね」「いい天気ですね」でも、これって、小津安二郎の映画の世界ではないか、やはり、オリオンさんが言うようにエロい『「情」のあるロボット』はあり得るかもしれない、だって小津の映画もエロいでしょう。