スタバおっちゃん、棚に生きる田口さん、

本屋便り:闘牛百科書店が閉店していた! - les livres lus au clair de la lune
スターバックス大解剖―スターバックスのすっごい真実、教えます。 (エイムック 1320)書店風雲録 (ちくま文庫)貼雑年譜 (江戸川乱歩推理文庫)
 先日、某証券セミナーの課外授業で、スターバックスのお姉ちゃんたちを講師(6人ぐらいで)にして、美味しい珈琲の入れ方の勉強をしました。
 主にジジ、ババたち30人で、色々な珈琲を喫しながら、お土産までもらったから、参加料500円の何倍もお返しがあった感じで感謝感激なので、イヤミを言う積もりはかなったのですが、
 どうも、ひと言、言って見たくなるのですね、
 偶然、マイミクさんで、ヨーロッパの食文化として、「すする」は抵抗があるのではないかとの、エントリーがあって、食にまつわる文化の差異について盛り上がりましたが、
 そのことは次回に置くとして。
 珈琲マスターのお姉ちゃんが「スタバ文化」の珈琲作法を初級編として伝授してくれたのですが、
 その飲み方は、まず、匂いを嗅いで、口に含む、舌に色々な味覚のポイントがあるでしょう。そこをまんべんなく刺激させて、思いきって音立て、「すする」と言うのです。
 そんで、僕は「すする」って言うのは、欧米の文化にはないのではないか、ちょいと、おかしいなぁと、質問したのです。
 日本のソバ、ウドンではないでしょう。
 そしたら、あるって、まあ、スターバックスグローバリズムの象徴のような珈琲チェーンだから、そういうものかもしれないけれど、
 ヨーロッパの固有の文化として、珈琲を「すする」っていうのはあるのですかね?
 ちなみに、日本独特の珈琲文化はなんだと思う?って、意地悪いQ&Aをしました。
 それはねぇ、銭湯で「グイ」と飲むコーヒー牛乳です。 これはまさしく「日本文化」なのです。その他、ちょこちょこと、赤塚不二夫「れれれジジィ」のノリで、イヤミなことを言ってしまいました。
 でも、本当はね、結構、スタバを愛用している、「スタバおちゃん」なのです。
 その証拠に、4,5年前、『スターバックスのムック本』のbk1書評を投稿しているのです。
 吉田修一芥川賞を受賞した年ですね。これを読むと、CCCのTSUTAYAとスターバックスがドッキングした店舗演出が当たり前になっていますが、この当時はまだそうなっていなかった。
 何かオレは先見の明があったのかと思ってしまうが、勿論、そんなことではなくて、同じようなことを考えていた人が沢山いたという流れで、そんな店舗構成が当たり前になったのでしょう。
 もうじきTSUTAYAはコミックのレンタルを始めますが、どうなんだろう、本屋だけではなく、専門店はどこも苦労していますね。

注文したカフェモカが出てくるのを待つあいだカウンターの隅に立って彼女たちを観察していると奇妙な共通点に気がついた。(中略)その誰もが「私を見ないで」という雰囲気をからだから発散させていた。ー吉田修一著【パーク・ライフ】より
 スターバックスのコンセプトは家でも会社の時間でもない【第三の時間と場所】を提供する【サード・プレイス】である事を知った。成程、引用の芥川受賞作で執拗にスターバックスが登場する仕掛けは日比谷公園パークライフ化するにはどうしてもスターバックスの珈琲が必要であったのか。大体、公園生活と問われれば「ホームレスの青いテントか段ボール」と答えてしまう。勿論、彼等にとって公園はサード・プレィスではなく最後のオンリーワンの場所なのだ。サード・プレィスとして公園物語を始めれば、スターバックスは欠かせない小道具だったのか。最初このムック本を見たとき、PR誌と勘違いした。「ぴあ」が発行し、全編これスターバックスの総合ガイドである。巻末にStarbucks wordsとして索引まである。コンテンツの1を覗くとimaginary BOOK SHOPでーアメリカのスターバックスと言えば、バーンズ&ノーブルという有名書店と一体化していることでも有名。日本のスターバックスでも、雑誌や書籍が備え付けられたお店が登場しているけれど、本屋さんと隣どおしなどのスタイルはもうちょっと待たれるところ。でも、もし今日本にも、スターバックスと一体化したブックショップがオープンしたとしたら…。そんな架空のブックショップへ、今からあなたをご招待ーでも紹介された本は「ライ麦畑でつかまえて」や「リトル・トリー」等、如何にもという定番であった。改訂されれば、「パーク・ライフ」が常備されるであろうか。
 「たばこが吸えないから嫌いなんですか」
 「そうじゃなくて、なんていうんだろう、あの店にいると、私がどんどん集まってくるような気がするの」
 「え?」
 「ちょっと言い方がヘンか? だから、あの店に座ってコーヒーなんか飲んでいると、次から次に女性客が入ってくるでしょう? それがぜんぶ私に見えるの。一種の自己嫌悪ね」
 「だから。どういうんだろうなあ。たぶんみんなスターバックスの味が判るような女たちなのよね」ー【パーク・ライフ】より
 “何にも隠していることなんてないわよ。逆に、自分には隠すものもないってことを必死になって隠しているんじゃないのかな”と言う〔スタバの女〕が登場するが、私は〔スタバのおっちゃん〕か。続く

 参照:http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/947224.html
 ◆新刊で又、スタバのムック本が出ていますね。本屋が新刊本だけで勝負するのが段々を難しくなりましたね、
  恵文社一乗寺店のように雑貨や、僕の街のスタバのように珈琲を喫しながら、本・雑誌が読めますよ、(と言っても、TSUTAYA内にオープンペースであるのですから、そこから勝手にもってくるのですから、元書店員としては多少割り切れなさが残ります。)
 というオマケを付けたサービスで集客をはかったり、新刊+古本で勝負をしようとする本屋さんも増え始めていますが、
 昨日、今日と明日に完結するらしい、毎日新聞の連載記事『となりの達人』で、ジュンク堂書店の田口久美子が「棚に拘って36年」と紹介されているが、彼女の棚演出は職人芸としての「体験」でしょう。
 マニュアル化出来ないもんね、だけど、リアル場での「棚演出」は、時間もコストもかかる。僕は、例えば、田口久美子が培った棚の技をネットで生かすべきだと思う。
 むしろ彼女の才はネットでよりよく生きるのではないか、今日の毎日新聞の記事で田口は村上龍の『13歳のハローワーク』を就職コーナーに置いて売ったエピソード、そして今、文藝棚に戻すとか、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を建築の棚に置いてみたり、でもそんなパフォーマンスはネットなら簡単ですよね、きめ細かい仕掛けが出来る。
 でも、書棚に陣取る頑固さは田口さんの真骨頂かもしれない。でもでも、福沢諭吉のように「一身にして二生」を生きてもいいではないですか、明日の記事が楽しみです。どうやら毎日新聞の記者さんは、リアル書店の象徴として田口さんを捉え、その対立項の文脈でネット書店を語ろうとしていますが、そうではなくて、ネットとリアルの大きな文脈で「出版流通」を考えてもらいたいと思います。
 アマゾンの「なかみ検索」は避けて通れないツールだと思う。もし、なかみ検索が一般化すれば、僕は今まで読んだ本をネットでもう一度購入して、テクストをいつでも、アクセス出来る権利を確保した上で、本は図書館に寄贈・リサイクルなりして、僕なりのネット書斎を作ろうと夢見たりします。
 ネットにアップすれば検索も簡単だし、色々な読み方もできる。勿論、ハードとしての本を売らなくても、コンテンツの販売だけでもいいわけです。
 田口さんのネット場における「本」についてのコメントを聞きたいものですね、明日の記事にあればいいのですが…。
一身に二生ですよ、写真で見ればまだまだ、お若い!手の記憶に替わるべきものが、ネットにもある。あるんですよ。
◆田口久美子の『売れる書棚を作って36年・上』
◆田口久美子の『売れる書棚を作って36年・中』
◆追記:http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/wadai/news/20070329ddm008020150000c.html
 確かに、手にとって触ることは必要かも知れない。田口さんの啓蒙塾は、受容する装置が感染する欲望を目覚めさせたら、後は渦を巻いて上昇するんだろうね、田口さんの記事を読んでいたらクオリアってネットではまだ無理だもんね、と、思いました。
 鼻がつ〜んとする感じって、クオリアの質感を茂木さんは、そのような表現をしていたが、動画ではまだ匂いがない、クレヨンしんちゃんの世界になってしまうが、
 新刊で本が入荷するでしょう。荷をほどいて本に触り、開き、棚入れするとき、印刷の「ぷ〜ん」とする匂いが、その本の情報を「意味」を強化して「記憶」となる。勿論、読むことが一番大事。それはネットでも可能で、めくるだけでもいい、しかし、匂いだけは無理ですね。
 クオリアの解明が出来て、それがネットで再現出来るようになれば、本当にリアル場の本は脅威に晒されるでしょうね。でも、それは気の遠くなるような先の話でしょう。
 匂いか、香水も、珈琲もそうか、そんな映画が上映されていますね。まだ、見ていなかった。♪http://perfume.gyao.jp/♪映像でどうやって匂いを表現するのだろうか、
 追伸:clair-de-luneさんからトラバが入りまして、僕がかって過去ログで言及した、渋谷の『闘牛百科書店』が閉店になったみたいですね。
ご苦労様でした。オーナーは花咲ジジィとなって花を売っていると風の便りに聞いています。
 田口さんには、これからもどんどん、本を売って欲しいものです。
 こちらの自由フォーラムの古本屋さんも、「田口塾」のようなものがありましたね、オーナーを中心とした読書会ですか、週休二日制で、週末は読書に集中する時間を当てるのです。そして、みんなで「本について語る」時間を設ける、そういう古本屋さんだったのです。
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