在野の書評家「古谷利裕」

 偽日記の古谷利裕さんが、文藝賞受賞作品磯崎憲一郎『肝心の子供』の書評を連日、アップしていますね。2007年10月23日、24日です。古谷さんのまとまった一文を読むには『風の旅人』の連載コラムがあるのですが、最近、『風の旅人』を購入するとまっさきに読む記事ですね。ところで、その古谷さんが、11月3日に中央大学の多摩キャンパスで保坂和志との対談講演会に出演ということですが、偽日記によると、保坂さんとの打ち合わせで映画『インランド・エンパイア』の話になりそうですね。映画好きの方には刺激的な講演会になると思います。勿論、小説の話もあるでしょう。
 ところで、古谷さんが、この講演会を紹介した読売新聞の記事に言及して、「作家の保坂和志さん、在野の書評家と対談」というタイトルになっており、いったい、「在野の書評家」ってなんだろう?と、07/10/25(金)に記事アップされている。
 このプロフィール問題に関して『風の旅人』は編集方針として、見事に肩書きを掲載しないですね。これも一つの見識です。例えば、保坂和志茂木健一郎もここに連載コラムを書いていますが、作家だとか、脳科学者とか言った紹介はない。生まれ年と、出身県だけです。
 そう言えば、雑誌『オルタ・1月号』で書評を頼まれたおり、プロフィールを書けとの要請に困った記憶があります。かって、ある出身高校の紹介に「書評家」とあったので、「そんな、プロではないし、恥ずかしい」、「元書店員」と書き直してもらったことがありました。まあ、書評って、プロとアマの境界線があいまいなところで鬩ぎ合っているから面白いところがあるので、結構、ネットの書評を愛読しているわけです。
 同業者の書評って「中立公正」っていうような逃げがあるのか、それと実名という枷もあるのか、ある縛りを感じますが、匿名の中にとても面白い書評があることがある。勿論、90%以上はノイズですが、そのゴミ山に「熱くて痛い」書評を読むことが出来る場合がある。しかし、「在野の書評家」って考えましたね。
 『オルタ』のプロフィールでは、「書店員などを経て現在年金生活中」になりましたが、ある人から大笑いされました。年金生活中」だなんて、だってそうとしか言いようがない。