ブラウン神父「対象に恋して」
- 作者: G・K・チェスタトン,中村保男
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1982/02
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 27回
- この商品を含むブログ (74件) を見る
FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: ロバート・K.レスラー,トムシャットマン,Robert K. Ressler,Tom Shachtman,相原真理子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2000/12/01
- メディア: 文庫
- 購入: 13人 クリック: 270回
- この商品を含むブログ (57件) を見る
福居さんは、雑誌連載のテーマ「被写体に恋して」の被写体ではなく、僕は「対象」にこだわるとコラムで書いていたが、そのニュアンスはなんとなくわかります。
少なくとも「対象に恋して」といった恋心がないと、その対象は勿論、その対象を作品として鑑賞する場合でも訴えるチカラが自然に生まれないだろう。パワハラとか利害で抑圧的に説得させといった姑息なものとなる。
僕もそういうモードで、橋下府知事にパブリックコメントを書いたもんだから、いま読み返してもひょっとして橋下知事に恋心が芽ばえたんではないかと誤読されるかもしれないですねぇ。もしそうなら橋下府知事に声が届く可能性が出てくる。権力関係、利害関係がなければ、他者を動かすチカラはそんな「恋心」でしょう。ただ、こちら側に無事帰還しなければ、危ないですねぇw。
マイミクさんがミクシィでこんなことを書いていた。
ロバート・K・ケスラーが『FBI心理分析官』の冒頭で引用したニーチェの言葉、
『怪物と闘う者は、その過程で自分自身も怪物になることがないよう、気をつけねばならない。深淵をのぞきこむとき、その深淵もこちらを見つめているのだ。』
G・K・チェスタトンの探偵ブラウン神父はそんな風にして犯罪者に共振する。そして、ギリギリのところで帰還する。秋葉原事件の文化人達のコメントを読むと、そんなギリギリ感がないところで発言する人が多すぎる。勿論、映画『接吻』の小池栄子のように殺人者豊川悦司の中に自分自身を見て、最早こちら側に帰還することを断念する事もありうる。だけど、仲村トオルの叫びが生まれた。まあ、このあたりは詳細に書くとネタバレになりそうですから、続きは断念します。