ダークナイトな「空の青み」(バタイユ対ヴェーユ)

空の青み (河出文庫)

空の青み (河出文庫)

新刊の『吉本隆明の声と言葉。』はCD&BOOKで編集構成が糸井重里なんですが、amazonのランキングでもよく売れていますねぇ。まあ、僕もジャケ買いしたわけで、リアル書店でも目立ちました。そんで、bk1書評をアップしたが、殆ど反応なし。
販促どころか、逆に足を引っ張ったかなぁ。(汗)
本書の17トラックに収録されている1979年「シモーヌ・ヴェーユの意味」よりから、テープ起こしされた一部を引用。

もっとやさしい言葉で言いますと、ある国家の国家機関を占めているものが、社会主義勢力であれ資本主義勢力であれ、その国家が、他人の国に大衆を殺させにやるようなものだということだ、戦争の本質というのはそれなんだ、と言っているわけです。(中略)/いわば戦争は、他の国がどうこうするということじゃなくて、自分の国の国家機関あるいは国家権力というものが、自分の国の大衆を殺させるということ、それが戦争なんだと言っているわけです。一見すると、それは敵の国の人間が殺すように見えるけど、それは本当は嘘だと言っているわけです。

 吉本さんによるヴェーユの戦争観が気になって、この講演全体をどうしても聞きたくなりました。幸い、図書館で借りることが出来ました。
 梅光女学院大学主催の講演・二枚組(1:73分26秒 2:64分32秒)で、79年7月14日録音ですが、凄く面白かったです。
 シモーヌ・ヴェーユに関しては詳しくないのですが、講演でG・バタイユの『空の青み』に登場するラザールを入り口にヴェーユについて吉本さんは言及する。
 そういえば、ネット仲間でバタイユの読書会の企画があって、最初のテキストがこの『空の青み』であったと記憶している。とうとう実現しなかったけれど、伊東守男訳の河出文庫が棚にありました。
 講演を通して聴いてヴェーユとバタイユの関係が多少トンデモな飛躍があるかもしれないが、先日観た映画の『ダークナイト』で、シモーヌ・ヴェーユはバットマンで、バタイユはジョーカーで、たけくまさんが書いているように「俺もお前も世間から見れば化け物じゃないか!」ってぇ〜とこが、ありますねぇ。
『空の青み』における私≒バタイユ≒ジョーカー、ラザール≒ヴェーユ≒バットマンで今、読み進んでいます。