身近にこんな図書館が欲しいなあ。

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この岡崎乾二郎の『ゼロのポレミーク』テキストは「現代思想」の荒川修作+マドリン・ギンズの特集(1996年)に掲載されたものと思うけれど(あとで、図書館で調べておきます。)
@偽日記さん(古谷利裕)の樫村晴香のページから、引っ張ってきたものです。(http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/kashimura.html#Anchor7252208

岡崎氏は、テキストの最後では荒川氏を離れ、上記のような、決して解消されることのない「かさぶた」が無限に堆積してゆく場所としての「世界」を、では自分はどのようにして生きてゆくのか、という点に触れている。この部分はとても感銘を受けたので幾つか引用する。例えば、「老化」というのは、どんどんと溜まっていった「かさぶた」に覆われて身動きが出来なくなっしてまうような状態と言える。《老化というのは自分の身体がどんどん無意識的領域に増大してゆくことで、コントロールできなないようになって痴呆状態になっていくわけです。簡単に言えば頭がどんどん悪くなって、何をしでかすかわからない。ファシストになるのか右翼になるのか、前の思想と全く一貫性のないとんでもない保守的な相が露呈してきたりする。》

なるほど、コントロールできない身体のエリアが段々と大きくなっている。「何をしでかすかわからない!」そんな身体と宥めるために、図書館は格好なアジールです。
このところ橋下改革のお陰で「図書館」エントリーが続いていますが、老化が目の前に、いやもう渦中かもしれないが、そんな「もの忘れ」を補強するために、かってbk1書評でアップしたテキストを全文、このブログにコピペアップして検索しやすいように先日から作業をしていますが、

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)

今回は「身近にこんな図書館が欲しいなあ。」(2003/11/06 15:29:00)です。

 著者は「ビジネス支援図書館推進協議会」で副会長を勤める。今、わが国で問題になっているのは、図書館が「新刊書中心の無料貸本屋」になってしまい、出版不況の足をひっぱているのではないかと囁かれているが、本書はそんな土俵の狭いところで、図書館を論じていない。
 図書館を「知のインフラ」の拠点にして色々な事が出来るとアクティブにニューヨークの図書館の実態を報告しながら、こんなことも出来るんですよと、具体的に図書館の未来像を語る。
 しかし、ニューヨーク図書館の幅広い活動には驚く。ノートPCの持ち込みも可、就職相談も、作家、研究者に個室を貸すサービス、カルチャーセンターのような活動は当然ながら、寄付を集めるための営業、広報活動も、例えば、ワールドシリーズで地元のメッツとヤンキースが対戦した時にニューヨーク図書館前にあるライオン像に野球帽をかぶせてメディア戦略をする。ニューヨーク公共図書館は四つの研究図書館と八十五の地域分館からなり、三千七百人のスタッフを抱え、去年の来館者数は一千五百万人、インターネット経由での利用者は一千万人以上を越える。でも、行政が直接運営する公立ではなく、非営利民間団体(NPO)が運営する図書館なのである。コミュニティの下支えの強靱さに驚く。
 そう言えば、『ロレンツォのオイルー命の詩ー』という映画があったが、その内容は子供が不治の病に罹り、医者の頼りなさに両親が痺れを切らして図書館に日参して医療情報を掻集める。専門医に出来ない事を素人が専門の境界を越えて様々な治療方法を探っていく。情報の宝庫である図書館の凄味を教えてくれる。実話に基づいた映画らしいが、父親は発見した治療方法によって、名誉医学博士号を授与される。その父、母親の狂気一歩手前の執拗さに圧倒されたが、そのことが可能であるためには情報公開が原則であり、スピーディに最新医療情報がアクセス出来る環境整備、情報リテラシースキルアップと様々な事が要求される。その要求に応える拠点として図書館が位置づけられているのだ。私の行きつけの大学図書館は名称が変り、情報センターとなっており、端末、ビジュアルオーデイオのブースも完備してサービスがなされている。地元の図書館でもかようなインフラ整備がなされればと思うが、財源の問題に突き当たる。
 ニューヨークでは、例えば一口三十ドルの寄付をしてもらえば、特典を与えてみたり、大口には記名して名誉を刻するといったことや、資料購入に関して選書メンバーに加えるとか、作家を囲んだパーティーを開いて招待するとか、我々の常識では考えられないこともやっている。我々も情報センターとして、単にカルチャーセンターの位置づけだけでなく、地場産業にもリンクして文化活性化、経済活性化の拠点として魅力ある図書館行政、民間導入を学校教育の問題とも絡めて検証すべきなのであろう。
 著者は最後に図書館をこうまとめる。
 1】印刷媒体から電子情報、出版ルートに乗らないチラシから歴史記録まで、多様な媒体による豊富な情報を、過去にさかのぼった体系的に蓄積する。
 2】膨大な情報のなかから適切なものを選び出し、評価を加え、アクセスしやすい検索システムづくりをするなど、情報の水先案内人・知のガイドとなる。
 3】市民の情報活用力を育成するとともに、情報環境を整備する。
 4】人と人との出会いの場を創出し、新しい知を生み出す。
 5】研究スペースなど、知的活動のための空間を提供する。

http://www.bk1.jp/review/0000267324

こんど、オープンする「エル・ライブラリー」は一口五千円です。ニューヨークで出来て大阪で出来ないことがないとは思う。もし大阪で出来れば、東京に自慢できます。阪●タイガース!まあ、僕はカープファンですが…。
http://shaunkyo.exblog.jp/8763066/