綿毛のような希望

kuriyamakouji2009-05-15

マグロの赤身のようなどろりとした血尿が出たので、とうとう転移したかなぁと思い、急遽病院に電話して月末になっていた診察を前倒ししてもらって、昨日、CT検査、造影、骨シンチの検査をしてもらい今日診察したが、骨シンチの画像を見る限り転移はしていなかった。
先ずは、ほっと一呼吸。
前立腺癌細胞が尿道に浸潤すると血尿(赤血球)になったり膿尿(白血球)になったりするわけです。
だからと言って、検尿において血尿、膿尿が即前立腺癌になった指標ではない。あくまでも可能性であって、それから精密検査へとつづくのです。
僕の場合は再発癌なので、血尿が出ることによって骨に転移したと疑ったわけ。先生の話では、血尿になったからと言って即転移にはつながらないとのことです。だから画像診断をして現段階での疑いが晴れたわけw。
前立腺は腺管で正常の構造は腺の内腔側に分泌細胞があり、周囲を基底細胞が取り巻き、少数の神経内分泌細胞も存在する。
正常腺管の基本構造は分泌細胞と基底細胞の2層性となる。ところが癌の腺管では外側の基底細胞がなくなり、2層性が失われるわけです。
それで、尿道に浸潤というムーヴメントが起こり、血尿になるのでしょう。
こういう場合の壁は必要なのです。
参照:『インフォームドコンセントのための図説シリーズ 前立腺がん』(医薬ジャーナル社)
画像:榎本香菜子作『綿毛』
ところで、再発/再燃とは違う概念なんですね。再発とは根治療法である手術療法と放射線療法後にがんが再発した状態。再燃とは姑息的治療法である内分泌療法後におとなしくなったがんが再び活動をし悪化した状態。
僕の場合は(1)リンパ節郭清+放射線療法、(2)内分泌療法なので、原体の全摘手術はしなかったのです。結果論になるけれど、(1)リンパ節郭清+全摘手術を同時にすべきではなかったか?と先生に訊いたら、当時(1998年)においては全摘手術による術後のクオリティが万全ではなく学会の常識として、(1)リンパ節郭清+放射線療法の選択がいわば通説であった。僕自身、当時は東京の病院でしたが、インフォームドコンセントにより全摘手術ではなく、放射線治療を選択決断したわけです。
あれから、全摘手術のスキルは進歩して、むしろ、今ではリンパ節郭清+全摘手術が常識になっているとの面白い話を聞きました。
十年前の頃は僕も講演を聴きましたが放射線医の近藤誠さんが、手術のリスクの高さについてアナウンスをし、彼の書く本はベストセラーにもなりましたもんね。そういう時代状況でもあったから、躊躇なく手術ではなく放射線治療を選んだと思う。つくづく、治療も時代と無縁ではないと思いました。
遺伝子治療がキーワードにこれからなるのでしょうね。

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