医療用麻薬としてのモルヒネ

癌Experts 学会スペシャル:日経メディカル Online

がんの痛みよ、さようなら!―こうすればとれる「がんの痛み」

がんの痛みよ、さようなら!―こうすればとれる「がんの痛み」

今日は、大阪のドーンセンター7階で開かれた医療フォーラム「身近な病『がん』を理解しよう!」に参加しました。
主催はNPO法人COMLで患者塾などを開いて「賢い患者になりましょう」を合言葉に患者の主体的な医療への参加を呼びかけている団体です。僕自身、こちらのセミナーに参加したのは今回が初めてなのでどのような活動をしているのか、具体的には知らないのですが、HPを見る限り色んな活動をしていますね。(http://www.coml.gr.jp
フォーラムでのメモ的レポを数回に渡ってアップしようと思います。
一回目は「モルヒネ」です。僕自身、「モルヒネ」に勘違いしていたことがありました。講師の一人である武田文和さんは、ブログも更新しながら、そんなモルヒネに対する間違った思い込みに対して啓蒙活動をなさっている先生です。
講演の中で鈴木勉先生のラットを使った実験で検証した知見を紹介してくれました。

「この動物実験の結果は、臨床における医療用麻薬の適正な使用例では、精神的な依存は生じないという事実と一致します。このことから、痛みのない人にモルヒネを繰り返し投与すると、ドーパミンが過剰に放出され、結果的に依存症になります。反対に、がんなどの痛みがある人に対してモルヒネを適正に使用した場合は、ドーパミンの過剰放出は起こらずに依存症にはならないことを示唆しています。」
http://www.gsic.jp/palliative/pc_10/よりー

だから、遠慮なく、がんの痛みを取り除くには終末医療の段階で投与するのではなく、痛みがあれば、早期の段階でも使用すべきだということです。
どうもこのあたりに、患者のみならず、医療担当者にも偏見があるのではないか。まず、患者のみならず、先生、看護士にも医療用麻薬に対する偏見を一掃したいということが、もう一人の講師中川恵一先生と共通の認識があったわけで、確かにこの治療法はWHO(世界保健機関)によって推奨されているにも関わらず、大体、アメリカと比べるとモルヒネの使用量が1/20で、 一時期増えたのですがこの数年間は頭打ちですね。(http://www.aichi-med-u.ac.jp/pain/decade.html
その原因がなんであるか二人の先生が最後に対談で疑問を呈したが病院そのものが、緩和医療終末医療ではなく、「痛みを軽減すること、なくすること」が医療行為においてとても大事なことだという認識を特に医療従事者に植え付けることなんでしょう。この国独特の文化的背景もあるのかもしれない。
僕のオヤジもガンでなくなったけれど、あちらこちら切って転移もしてトータルペイン(全人的な痛み)だったのにもかかわらず痛い!とも言わなかった。それで主治医は理想的な患者として褒め称えたが、それは単に主治医にとって扱いやすい患者に過ぎなかっただけではないかと今にして思います。
むしろ、大声で痛い!と言葉で表現すべきでしょう。武田先生は患者は勿論、耐える患者を理想と見る医療従事者に認識を改め、むしろ、遠慮なくありのままに言葉に出して表現することが患者の役割だと言う。
その通りだと思う。痛みがなくなれば、食欲が出、よく眠れ、免疫力もアップして気分が高揚する。根治療法ではないけれど、クオリティを完全に損なうことがなく延命出来る。「がんの痛み」を軽減するためにモルヒネを使用しても中毒にならないなら、何の問題もないということです。
がんが治らないものなら、せめて「がんの痛み」をとる処方箋を積極的に選択すべきではないか、そんなフオーラムでありました。
中川先生が政府の諮問機関で学校で生と死について考えるためのガン教育を提唱したのに、某大臣が「縁起でもない」と一蹴したと言う。困ったものです。