見かえり峠の落日

おすず (文春文庫)

おすず (文春文庫)

最近、時代小説をよく読むようになった。エル・ライブラリーで手に入れた杉本章子の『おすず』を読み、
縄田一男編『関八州旅がらす』(時代小説の楽しみ 3)から、何故か無重力渡世人木枯らし紋次郎の作者笹沢佐保の『見かえり峠の落日』を読みたくなり、その無駄のないリリカルでリズミカルな文体を堪能する。股旅ものの名作に間違いない。
映画で涙もろくなるのは珍しくないけれど、エンターテイメントの小説で泣いてしまうのは記憶にないね。泣くカタルシスを味わいたいなら『見かえり峠の落日』です。