見えない誰かに葉書を出しますか?
平出隆の『葉書でドナルド・エヴァンズに』(作品社)は『書評でドナルド・エヴァンスに』(bk1データー)で参照してもらうとして、『本書』は詩人平出隆が、架空の切手を四千枚も手書きで描き、発行し続け、詳細な42の架空の国まで虚構して、『世界のカタログ』という本まで作って、自分の王国を捏造してしまった画家に共振して、時空を超えて返事を書き続けた、『ドナルド・エヴァンズ』宛ての書簡集であり、画家の夢に同衾、共棲みした詩人の奇書です。架空の葉書を書き続けることによって、友であるエヴァンスに捧げた美しいとしか、言いようのない本です。