「hitory」が生き生きと浮かび上がる。

Power, Politics and Culture: Interviews with Edward W. Saidオンライン書店ビーケーワン:日米交換船オンライン書店ビーケーワン:戦争が遺したものオンライン書店ビーケーワン:明るい夜オンライン書店ビーケーワン:故国喪失についての省察 1
 ミクシィでshohojiさんが紹介していた「黒川創・加藤典洋・鶴見俊輔著『日米交換船』」の原田さんのレビューを読みました。小熊英二・上野千鶴子・鶴見俊輔著『戦争が遺したもの』からつながる本みたいですが、是非とも読みたいです。原田さんは結語にこう書いている。
『歴史は人の心情を含みこむ。その軌跡が描かれたとき、「history」が生き生きと浮かび上がる。その「history」がここにはあると思う。 』
 参照:2005-11-22 - シャ ノワール カフェ別館
 この言葉はニュー・ジャーナリズム、ノン・フィクション、ドキュメンタリーの作法にも当てはまると思う。昨日のエントリーのコメント欄にぽまさんがE・W・サイードを追いかけた佐藤真さんのドキュメント映画『エドワード・サイード OUT OF PLACE』について紹介してくれましたが、ウラゲツさんは試写会での感想をアップしていましたね。この映画のシナリオ全編と、佐藤監督の製作ノート、本編でカットされたインタビューを収録した書籍『エドワード・サイード OUT OF PLACE』が4月下旬にみすず書房さんから刊行される(46判256頁で税込2100円)という情報もありました。でも、佐藤真で検索したら、まだデータアップされていないです。関連書籍として、『故国喪失についての省察(1)』(大橋洋一訳、ISBN:4622072033)の刊行が予定されているらしいです。でも、ウラゲツさんの情報は東京だけでしたのですが、どうして関西でやらないのかと思っていたら、京都造形大学で記念上映会と講演会があるのですね。そうか、監督は京都造形芸術大学で教えているんだ、佐藤監督が東京の下町王子にいらっしゃる時はお子さんを荷台にのっけてチャリンコをこいでいる姿を時々みかけたものです。
 王子でアジア映画祭が開かれた時(多分、1999年頃)、映画の上映とゲストに金井美恵子さんを呼んで佐藤真さんと対談があったのです。そのことを過去エントリーに書いていましたね。

佐藤さんの子供さんが通っている保育園での一日をドキュメントした園児の父母ともども、制作スタッフとして、作り上げた短編映画を上映してくれました。セット大工仕事や、仕掛けつくりや、サイレントなので、園児の先生が特別出演して、ピアノ演奏で、興を添える。数百人収容できるホールですが、若い女の先生はどうにいったものでした。この保育園、ぼくの住んでいたところの近くにありましたので、町内会のイベントのノリって言う感じもしますが、上映する映画もお二人の映画論もレベルが高く、その乖離の可笑しさを楽しみました。勿論、地元の図書館に佐藤真のビデオがあり、初めて『阿賀に生きる』を観ることが出来ました。長時間、阿賀に住み込んで、阿賀に溶け込んで、カメラを回した手触りのする、人間の匂いのぷんぷんする映画でした。この人の人柄そのものなんだろうなぁ…と、気になったら、それから、王子駅周辺で、チャリンコに子供を乗っけた猫背の大男を再三、目にするようになりました。ぼくの好きな作家で堀江敏幸がいますが、原作『いつか王子駅で』を佐藤真監督で是非とも撮ってもらいたいと、そんな夢をみています。でも、彼の夢は『トウキョウ』を撮ることらしい。

その監督がサイードを撮ったのです。興味津々です。原田さんの言葉は佐藤真監督『阿賀に生きる』の映画に生きている。この映画は監督を始めスタッフが畑仕事を手伝い、現地に暮らしながら三年の歳月をかけて撮ったドキュメントで、まさに登場する人々の心情を含みこみ、その軌跡が描かれた映画とも言えます。
ぽまさんのコメントを転記します。

会報から転記します。

                                                                            • -

「[佐藤真監督(京都造形芸術大学教授)2時間17分]」完成。
5月1日(月)、京都造形芸術大学で記念上映会と講演会。
イード夫人であるマリアム・サイード氏、一橋大学教授の鵜飼哲氏、佐藤監督との鼎談あり。
▼上映予定 2006年5月1日(月)<上映>13:00〜15:20 <シンポジウム>16:00〜18:00 <上映>18:30〜21:00
▼料金(上映一回につき1チケット、シンポジウムはいずれかの上映会の半券提示で入場可)一般(前売・当日とも)1,000円*1
窓口販売と電話予約は京都造形芸術大学・京都芸術劇場チケットセンター(075-791-8240)

 ただ、今後スケデュールの変更があるかも。あれば又、アップします。ウラゲツさんのエントリーではこの映画の上映に合わせて本屋さんでブックフェアが開かれればいいなぁとコメントしていますが、どんどん、人文棚の担当者は仕掛けて欲しいですね。

*1:ぽまさんがコメント欄で正確な情報をアップしています。参照して下さい。