2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ハーモニカ吹く「ノーエ」のおっちゃん

取っ替え引っ替え唄っていた軍歌も尽きて、列車はまだ到着しそうにもない。送られるほうは姿勢が持たない。送るほうも景気が続かない。激励の声をかけるにはとうに間合いがはずれた。つとめて賑やかにしていても沈黙が押し入る。青年のこの先の身上の、想像…

トマス・ピンチョン]bk1書評

トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』(筑摩書房)を久しぶりにbk1にレビューアップしました。○ヶ月振りではないかなぁ…。でも、これ、ヘンな書き方をしたので、書評として顰蹙を買うかもしれない。kingさんが、すでに内容紹介している書評な…

嶋重宣/赤いヘルメットの首位打者

多分、知らない人が殆どだと思うので、フリ仮名をつけました。赤ヘル(広島カープ)の四番バッターです。背番号はヤンキースの松井秀喜と同じ「55」なので、「赤いゴジラ」と呼ばれていましたが、開幕当初の本塁打の量産にはびっくりして、横浜ベイスター…

bk1書評者

bk1を覗くと、『特集:愛国心』についてのエントリーをアップしている。ぼくのレビューが三件、pipi姫さんのが二件とアップされています。ちょいと、古いものなので、今、現在の僕の愛国心に関する考えと、少しズレがありますが、僕の書いたものに間…

柄谷行人

リスペクトする某作家に柄谷行人のいう「文学」は、「近代自我文学」のことであって、だから、相手にしない方がいいし、読むだけ時間の無駄です。 って言われて、うん〜と、考え込んでしまいました。、それらは臨床社会学的、文芸評論的、歴史学的な価値をも…

澁澤龍彦/書斎のエロチシズム

「玩物喪志」って言葉がある。でも、それを徹底すると、喪志を突き抜けて別の世界に行くことが出来る、出来た人ではないかという思いが澁澤さんにはする。澁澤さんは『玩物草紙』という本を上梓しているが、すべての物々を言葉に包んで収集し、ピンで止めて…

pipi姫

また、他にもそそられたのは宮崎駿論だ。宮崎監督=ロリコン少女愛倒錯者説にはちょっと驚いたが、しかしそういえば哲学者森岡正博氏も『男は世界を救えるか』の中で「風の谷のナウシカは「ロリコン・エコロジカル=フェミニズムの金字塔」と言っていたこと…

中島貞夫/天王寺公園映像館

『映画に描かれた関西』というコンセプトで、11/6(土)〜11/25(木)−但し、月、金は除く。の長期間、何と『ジョゼと虎と魚たち』を初め、25本の邦画が上映される。往復はがきによる抽選で無料ですが、くじ引きは弱いので、当たらないかも知れな…

鎌田東二/神道ソングライター???

宗教哲学者であって、神主の資格も持って、学問的探求と芸術的創造を目指すフリースクール『東京自由大学』を設立し、『神道ソングライター』としてライブ活動もやっている京都造形芸術大学の教授でもある鎌田東二は、昔、中上健次との共著『言霊の大地』で…

佐藤真/雑誌「談」

ピンポン〜と、宅急便が届いたので、何だろうと荷を解くと手に入れたかった雑誌『談』のバックナンバーが届いている。感謝感激、誰だろうと思うと、版元さんでした。あ、そうか、読書カードを投函したんだっけ、ちょこっと、コメントを書いたのですが、お礼…

佐藤真/(1957年〜)阿賀に生きる [VHS]

ドキュメンタリー映画作家の佐藤真さんを始めて知ったのは、東京、北区の王子駅前の、北とぴあの大ホールで、金井美恵子さんとのトークを挟んだ“アジア映画祭”である。1992年、『阿賀に生きる』で衝撃的なデビューを果たしたドキュメンタリー映画作家の…

植島啓司/ラブマシーン・宗教学者

先日、天満宮の古本市で、植島啓司の『分裂病者のダンスパーティ』を見つけた。版元のリブロポートは廃業したし、中々手に入れるのは難しいが、2500円で売っていた。(ネットで検索したら、これ以下の値段で、まだ、購入できるみたい。失礼)ぼくは5、6…

ジャック・デリダ(1930−2004)

昨日、ジャック・デリダの訃報をきいたが、デリダと言えば、『脱構築』で、主著に『グラマトロジー』、『エクリチュールと差異』などで、少なくとも哲学学徒には必読書と思いますが、ジャンルを超えて、読み散らす摘み食いの無作法なぼくにしても、デリダの…

最後の個体

榎本香菜子の本年度損保ジャパン美術財団奨励賞の画像。HPは“こちらから”。 京都市美術館に行って来ました。下で紹介したこともある榎本香菜子の作品“最後の個体”が主体展(10/9〜17)に陳列されたからです。ドーン・コーラスが聴こえて来ました。身…

ガブリエル・ガルシア=マルケス

昨日のバロのカキコについて、ちょいと、マルケスのことに触れましたが、常連訪問者shohojiさんに、単にマルケスだけの表示はまずいのではないかと、忠告されまして、念のため、マルケスにリンクが張られていたので、、クリックすると、最初に眼に飛…

小説をめぐって

保坂和志の『小説をめぐって』(新潮連載中)など、まだ単行本にされていない“non-book text”http://www.k-hosaka.com/nonbook/nonframe.html を読むことが出来ます。ピンチョンに関しては新潮11月号に言及されています。(でも、ネット上でのアップは数ヶ…

レメディオス・バロとの遭遇

7月2日記:反社会学講座のやりとりが、発展して、「山口二矢」となり、「少年」となり、「榎本香菜子ギャラリー」から、「レディオス・バロ」に行当たりました。ぼくはこの画家のことを知らなかったのですが、kingさんに色々教わりました。それで、新…

(Remedios Varo)デジャービュな“つづれ織り”なのです。

メキシコ・シティに行ったとき、二人はどうしたはずみか、スペインから亡命してきた美しいレメディオス・バロの絵画展にさまよいこんだ。ある三部作の中央の、「大地のマントを織りつむぐ」と題された画のなかにはハート型の顔、大きな目、キラキラした金糸…

舟越桂/濃密な沈黙

ぼくの周辺に桂ファンは多いのに、展覧会に行きそびれている。タイミング良く、情報が入らない。ここに書いて発信しておくと、備忘録にもなるし、親切な人が適当な時期に関西地区で展覧会がありますよと、教えてくれるかもしれない。ぼくが舟越さんを知った…

エーリッヒ・フロム

フロムの『自由からの逃走』(東京創元新社)が、本棚からなくなっている。本書は勉強をしなかった学生時代に唯一、真面目に読了した社会科学書の一冊です。それから、結構、折に触れ読んでいたのですが、色褪せないどころか、いつのまにか四十年前より説得…

「自由からの逃走」から逃走

《…対話は答えが出る前にしか出来ない。答えが出てしまったあとは、同意の強制こそあれ、対話などありえないのだ。…》。 ♪武田徹さんのブログ10/6♪の柏崎での『原子力市民の会』講演会で、気持ちよくボコボコにされましたと、武田さんらしいコメントを書…

北川健次

梅田の阪急古書の街にある“加藤京文堂”を覗いたら、=北川健次色彩銅版画集刊行記念展=が開催(10/9まで)されていて、『反対称・鏡・蝶番―夢の通路〜』の八点組の版画を見て来ましたが、主題は「パサージュ―鏡面の詩学」で、もらったチラシによれば、…

久世光彦/美味しい美の職人

“退屈男”さんのブログに触発されて、久世本で、一番、楽しんだのは『卑弥呼』ですと、コメント欄にカキコしたのに、bk1で覗いてみると、単行本も文庫も品切れ絶版?になっている。データが出なかったはずだ。しかし、勿体無い。大長編であるけれど、サービ…

トマス・ピンチョン

読了するまで、とんでもなく時間がかかりました。通常なら、途中でヘタりそんのまんまっていうことになるのですが、わき道に入りながらも何とかメインストリートに戻ってこれたのも、原著では数倍もオモロく読めるのであろうなというイラダチを伴った屈折し…

井上ひさし/資料魔・戯作者

もうひとつのブログの流れのカキコなのですが、又、トラブッたのか、アップ出来ないので、こちらでやむなく…。『珈琲時光』の続きですが、浅野クンが演じた古書店主に何か必要以上に感情移入してしまったことが、この映画を僕的に膨らませたかもしれない。専…

サム・クック/A Change Is Gonna Come

二人の顔の表情が一つになった。「オレだってさ。人間、決して死ぬことはないんだってな。ハ! 国家がパニクるのも当然だよな。魂の不滅を信じる民衆を管理してくなぁ不可能だもの。国家ってもんは大昔から人民の生死を左右する力を密かにふるってきたわけよ…

侯孝賢(ほう しゃおしぇん)

今日、『珈琲時光』を観たばかりなので、この映画監督について語るべき情報は追々更新するとして、僕自身の備忘録としても、簡単にプロフィールを書いてみます。1947年・広東省生まれ(台湾の団塊の世代なんだ)。《…翌年、家族と共に台湾・高雄に移住。…

小津映画に登場する風貌の人

テアトル梅田で映画『珈琲時光』を観ました。台湾の映画監督なのに、侯孝賢の映像は僕の中に染み渡りました。荒電の傍、王子、山手線駒込駅傍に何十年と住んだものにとって、シーン毎に触発される<私的>な映像が重なって、思わず目を閉じてみたくなる誘惑…

室生犀星/ふるさとは遠きにありて思ふもの

ちゅうこさんのおかげで、『杏っ子』のことを想い出しました。1958年に映画化されたもので、再見したいとチェックしたが、レンタルでは無理で後は図書館でしょうか、 http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=138269 奥野健男著『現代文学風土記…

ロバート・S・マクナマラ

ドキュメント映画『フォッグ・オブ・ウオー』(the fog of war)を“シネ・リーブル梅田”で観ました。広島・長崎原爆投下で核使用のシナリオが出来上がっているのに、あまりに、不必要なB29による焼夷弾の大量投下も悲惨であった。東京大空襲は…